【 FRAG-ILE-MENT 】 ≪ Home Sweet Home(2) ~つよがり(4)~ ≫

PREV / NEXT / TOP
 


テーブルを埋めるかのように並ぶ料理に手を伸ばしつつ、杯を重ねていく。
二杯目に頼んだジョッキを飲み干してからは、各自で好きなものを頼んだ。お酒は好きなもののそれほど強くない映美ちゃんはサワーを、華奈さんはグラスワインを、あたしはベルギービールを今は味わっている。
ただいまのお題は好みの男性について。
「やっぱり男だったらそれなりには筋肉が付いてないと。ひょろってしてるとそれだけでターゲットにならないなあ」
チーズタッカルビを頬張った映美ちゃんは語る。肉を食らう映美ちゃん。うん、まさしく肉食系女子。
ターゲットって言ったよ。何、映美ちゃんはハンターか?
ガチムチまでは求めてないけど、細マッチョとか心躍るらしい。『GTO』に主演してたAKIRAとかモロタイプとのこと。要するにEXILE系。昔からそうだったけど映美ちゃんの好みって何気にヤンチャ系だよね。あまりあたしとは合わないかなあ。
「筋肉にはこだわりないな。好きになるタイプってあんまり一定じゃないと思うし。うーん、何だろ、癖のある男性(ひと)に惹かれ易いのかな」
合鴨ロースと完熟トマトのピザを取り皿に取って華奈さんが言う。
身長にもこだわりないそう。昔付き合ってた彼氏の中には、華奈さんより背の低い人もいたとのこと。
他には手の甲に浮かんだ血管とか、鎖骨とかセクシーさを感じたりするのだそう。
「あ、男の人で細くてすっきりした指って色っぽくて、つい目がいっちゃう」
結構部分フェチだな。
日本の俳優ではずっと好きなのは阿部寛、最近では高橋一生とか山田孝之とか割といいなと思ってるんだって。阿部ちゃんはいいよね。あたしも好き。あとは華奈さん、何ていったってキアヌのファンなんだよね。カッコいいのはもちろん、セクシーだし、ってこれはあたしの意見か。あたしもキアヌ大好き。華奈さんとは何気に好きな男性のタイプが被るんだよなあ。華奈さんは私生活でのキアヌの大スターらしからぬ奇異な行動を取るとこも好きなのだとか。キアヌは優しい変人なんだそうな。それはあたしにはちょっとよく分からないけど。
「身近なトコでは、もし紗季(さき)さんがいなかったら丹生谷(にぶたに)さんと男女の関係になってもいいかな、とかちょっと思ったりして」
って、おーい!不穏な発言やめてくださーい!本気?ふざけてる?
「え、それって衝撃発言?まさかの略奪系?」
好奇心に目を輝かせて映美ちゃんが口を突っ込んで来る。その食い付きのよさはさながら芸能リポーターのよう。
「あはは。映美さんをガッカリさせて悪いけど、そーゆーつもりはないんだ」
ケラケラと軽い笑い声を上げながら映美ちゃんに答えた後、華奈さんはあたしへと視線を転じた。
「安心してよ。狙ってなんかないし、あくまでもしもの話」
飄々とした調子で華奈さんは続ける。
「現実にどうこうなんて欠片も考えてないし、あたし、紗季さんのこと好きだから、言動はもとより匂わせたりもしないって」
当たり前!聞きたくなかった。変に気にしちゃいそーだよ。
焦りまくるあたしの様子を、口許をニヤつかせて華奈さんは面白そうに眺めている。くそー、からかわれてるなー。もしかしたら冗談か?
「あー、ワクワクする話が聞けるかと思ったのに残念ー。不倫しちゃえば?」
ちょっ、映美ちゃん!不用意な発言止めてくんない?映美ちゃんは丹生谷さん達と面識ないからって、軽々しく不貞行為をけしかけないで欲しい。どーせ映美ちゃんのことだからよく考えもせず、面白さ優先で言ってるに決まってる。
「ご夫婦二人ともあたしにとって大切な友人だから、それはなし」
映美ちゃんの提案を華奈さんは笑って却下する。その様子を見て、華奈さんは別に丹生谷さんに恋愛感情を抱いてるとかってことじゃなく、あくまで好きなタイプの一例として挙げたに過ぎないって理解する。
答える華奈さんの態度からそういう気は全然ないのを知って、映美ちゃんは「そっかー」と呟いて大人しく引き下がった。
かと思ったら、
「で、麻耶の好みは?」
即座に対象を切り替えた映美ちゃんに話を振られる。
おっと、あたしの番ですか?
さて、何て答えようか。贅沢魚介の宝石箱パスタをフォークに巻き付けながら、ちょっと考える。イクラ、雲丹、タコ、イカ、スカンピ、ムール貝、ホタテ、野菜も茄子、ズッキーニ、パプリカ、トマトと具沢山で本当に宝石箱みたいに彩り豊かで贅沢なパスタ。萌奈美ちゃんに食べさせてあげたい。匠くんがパスタ好きだからって、特にパスタのレパートリーの研究には余念がない。お店の雰囲気も萌奈美ちゃん好みだし、匠くんに教えて萌奈美ちゃんを連れてってあげたら?って促してみようかな。その時はカップルシートをお勧めしておこう。
「好きな俳優って言ったら、日本人では阿部寛と堤真一、外国人ではキアヌとジョニデだなあ」
あと、最近は『アロー』のスティーブン・アメルがちょっといいかなあって思ってるトコ。マッチョ系ではあるけれど、それより演じてるオリバー・クイーンのキャラクターに魅せられてるって感じかなー。マッチョなんだけどちょっとナイーブな感じがグッとくる。
「なーんかありきたり。面白味なーい」
映美ちゃんには不評だ。好きなタイプと聞かれて、そうだなあと頭を捻る。
「イケメンにはこだわってない、つもり」
キアヌ、ジョニデが好きとか言っときながら何言ってんだって?ごもっともです。
うーん、好きなタイプねえ。改めて考えてみると、これっていう特徴とか思い浮かばないんだよな。何だろ…
二人を楽しませる回答を捻り出さんと頭を悩ませるあたしに、映美ちゃんは少し呆れた顔をする。
「そんな考え込むよーなことかね。パパッと思い浮かんだりしないの?」
パパッとねー。なんて、試しにパパッと思い浮かべてみて、すぐに頭の中に浮かんだ顔を慌てて消し去る。まさか口に出せる訳がない。
「あー、今は付き合ってる彼が一番かなー?」
などと惚けてみる。
「チッ」
「リア充滅びろ!」
この向けられる敵意を何とかしてくれ!
「そんなに素敵な彼なんだ?」
華奈さんが身を乗り出してくる。ニタリって感じの笑みを浮かべて。何か恐いんですけどー。
「まー、そう思わなきゃ付き合ってないし」
しれっとした顔で言い放つ。
「おー、臆面もなく言いやがった」
映美ちゃんに呆れられる。だけど尚吾は結構評価高いと思うな。あたしが身を置いている業界と比べたりすれば、そりゃ尚吾の仕事は職業的にちょっと華々しさに欠けてるように見られるかも知れないけど、それにしたって社会的信用は高いし、容姿、内面とも世の女性が彼氏に求める合格ラインを大きく上回ってるんじゃないかな。うん、いい男だと思うよ。理想ではなくとも。
「華奈さんは麻耶の彼氏と会ったことは?」
「ううん、まだ」
映美ちゃんに聞かれて華奈さんは頭を振る。
別に会わせたくない訳でもないんだけどな。偶々紹介する機会が訪れてないだけで。
「会いたいんだったらいつでも引き会わせるよ」
別段何の抵抗もなく言うと、意外そうな顔をされた。
「あら。いいんだ」
「うん。全然構わないよ。尚吾の方も嫌がらないだろうし。彼、コミュニケーション能力高いし如才ないし」
初対面でも全然抵抗感ないからね、尚吾も。あたしが友達に会わせたいって言えば、喜んで会ってくれると思う。
「何してる人なの?」
「高校の先生」
「随分お堅い職業の人と付き合ってんだ」
あたしと学校の先生っていうのが、どうにも結び付かないらしい。
「最近の先生ってそうでもないよ。堅くはないかな。見た目好男子って感じだね」
少なくとも尚吾は相当くだけてるしね。かといって不真面目なんてことでもなく、真面目なトコは真面目だけど。そこはやっぱり先生なだけはある。いい意味でフランクっていうのかな。
「へーっ。どういう出逢い?」
相当興味を引かれたのか、映美ちゃんが身を乗り出してくる。
「同じ高校の一コ上の先輩」
「ふうん」
華奈さんは気のない相槌を返す。何処か腑に落ちないって感じで。
「高校の時から付き合ってた訳じゃないよね?麻耶、高校時代彼氏いなかったもんね」
映美ちゃんも付き合うことになった流れが掴めないのか、不思議そうに首を捻っている。
あー、何て答えようか。あんまり不用意なこと言うとマズイかな。
「高校の時から顔見知りではあったんだ。その時は別に恋愛対象じゃなかったけど。あ、向こうは当時からあたしのこと意識してたそうだけどね」
「けっ、そーですか」
何気に自慢を挟み込むと、映美ちゃんからおざなりの返事を返される。
「それで高校ン時の知り合い絡みでバッタリ再会してねー。向こうからアプローチされたんだー。まあ、イイ男になってたし、付き合ってもいいかなって」
再会の経緯に関しては嘘だけど。いや、きっかけは匠くんと萌奈美ちゃんを介してのことだから、嘘でもないのか。こんな説明で納得してくれないかなあ、って願う。
「ナチュラルに上から目線なのが腹立つ」
映美ちゃんが気になったのはソコですか。だって仕方ないじゃない。こんなにイイ女なんだもん。
「でも、イイ男なんて麻耶ちゃんの周りにゴロゴロいるんじゃない?アプローチしてくる男だって後を断たないと思うんだけど、彼の何が麻耶ちゃんの琴線に触れた訳?」
うおっ、華奈さん鋭いツッコミ。あー、何て返そう。
他の多くの男性(ひと)と尚吾の違い――たった一つ、だけど決定的な一点。あたしの本当の気持ちを知ってるってこと。
多分、他の男性はそれを受け入れてくれない。受け入れられる筈ないし、理解だって出来ないと思う。尚吾だって受け入れてくれてはいても、理解してくれてるかどうかは分からない。あたしにさえ理解しきれない、あたしの中に根深く絡み付いたこの想い。
萌奈美ちゃんは匠くんへの想いを「呪い」に似てるって語ってた。その表現は何だかしっくりくる。あたしと萌奈美ちゃんは同じ「呪い」を心にかけられた、精神的な姉妹なのかも。だとしたら、今の関係はなるべくしてなったんだろう。匠くんと萌奈美ちゃんと、三人での生活。
「あたしも、まさか彼と付き合うことになるとは思いもしなかった」
上手い説明が浮かばず、そんな本音混じりの言葉を呟く。
「ふうん。麻耶ちゃん自身でも意外に思うような交際なんだ」
「まあ、思いも依らない馴れ初めってあるって聞くしねー」
二人は、男と女は一筋縄じゃいかない、っていう定説に則ったものと上手い具合に理解、というか誤解してくれた。
「でも、順調なんでしょ?」
華奈さんに聞かれて、そこンところはしっかりと頷いておく。
「それはモチロン」
この笑顔が答えです。そんな意識で曇りのない微笑みを返す。尚吾との交際には迷いはない。
「もちろん身体でのお付き合いもあるのよね?」
映美ちゃんが待ちかねたかのように質問してくる。おーい、お預けさせられてたワンコが飼い主から「ヨシッ」って言われた時みたいなんだけど。ついにエロ魔人降臨か?映美ちゃんの言った「お付き合い」が「お突き合い」ってイヤらしく聞こえてしまう。
「まー、そりゃあ、交際始めてもう半年以上経つし、お互いそれなりに大人の男女だからね」
相手の、それから自分の気持ちを確かめられたのなら、身体を重ねることに何の躊躇もない。
「どれくらいで会ってるの?」
それってどれくらいの頻度でセックスしてるの?ってことだよねー。分かってるよ。
映美ちゃんだからね。
「えー、お互い忙しいし、毎週は会えてないかなー。でも二週間に一、二度は会うようにしてる」
「ほーん。今くらいだともっとしたくならない?」
言っちゃったよ。「会いたく」じゃなく「したく」ってね。欲望ダダ漏れだよ。
二週間に一、二度のセックス。あたしはそれで割と満足してるんだけど、尚吾は違うのかな?もっと頻繁にセックスしたいのかな。まあ、セックスは置いといてもっと会えたらいいなあとは思う。週に一、二回は会えたらいいのにね。それとも会いたかったら、何とか時間を遣り繰りしてでも会おうとするものなのかな。
「んー、今んとこは満足してる」
「ほーほー。中身的にも満足?」
「中身って何?デート内容ってこと?」
分かってて聞いてみたよ。
「またまたー。分かってる癖に。中身っつったら、テクニックとかスタミナとかサイズとかに決まってんじゃん」
映美ちゃん、グイグイ来るねー。
「テクニックとかって言われてもよく分かんないけど、普通?若しくは上手いんじゃない?スタミナもあるんじゃないかなー。まだ二十代だしね。サイズって、あんまり比べたことないけど、やっぱり普通?平均的なのかなー」
大学時代に付き合ったことのある彼氏と比べても下手じゃないと思う。サイズは、どうなんだろ。大学の時は相手のをマジマジと見るほど慣れてなかったし、あんまりよく覚えてないしなー。入れられた時の感覚でいえば、小さくはないと思う。あの身体を押し広げて入ってくる感じは結構好き。
「もしか麻耶、その彼が初体験?比較対象ないの?」
「違うよ。大学時代に付き合った人何人かと経験ある」
大学時代の彼氏のことは、口に出すのが少し躊躇われる。
大学一年の途中の短い一時期に、次々と乗り換えるように付き合っていた数人の彼氏は、相手のことが好きだからっていうんじゃなかった。自分の本当の気持ちを直視したくなくて、そんな自分を誤魔化そうとして、半ば強迫観念みたいに是が非でも彼氏を作らなきゃって自分を駆り立ててた。そんなの相手に失礼この上ないし、何より虚しいだけなのにね。
あの頃のあたしって愚かで哀れだったって、そう思う。だけど、あの時のあたしは他にどうすることもできなくて、ああする以外なかったんだって、そうも思う。「馬鹿だねえ」そう言いながら、あの頃の自分を抱き締めてあげたい。
「ふーん。その割には曖昧だねー」
「もう何年も前だし、あんまりちゃんと見てないし」
気まずさを押し隠して乾いた笑いを口許に浮かべる。ふと逸らした視線に入った華奈さんの眼差しには、何だか労りが籠っているように感じられた。
「あたしとよくバイブの画像見たりしてたじゃん。アレとかと比べてどーよ?」
ぎゃー、暴言!
「そんなことしてたのねー」
華奈さんの視線がすうっと冷たくなった。
「高校の頃ね」
映美ちゃんが清々しい笑顔で答える。おい、平然と言うなよ。女子高生がバイブ画像漁ってたなんてどーなのよ?華奈さん、誤解しないで!
「バイブ買おうとしてた映美ちゃんに付き合わされたんじゃん!」
自発的なものではなく、映美ちゃんに無理やり付き合わされたことを力説する。

映美ちゃんは高校生の時に、ネット通販でバイブ購入に挑もうとしたことがある。
「代金引換でコンビニか宅配便の営業所受け取りにすれば問題ないんじゃん?」
色々とネットで情報を漁り、検討を重ねた結果、映美ちゃんは言った。後はもうアダルトグッズの業者のサイトで、購入をクリックすれば注文完了というところだった。
流石に女子高生がバイブを購入しようとしたなんて、万が一もしバレたらダメージでか過ぎでしょ!普段はかなり寛容なおじさん、おばさんにもどんなに怒られるか分かったもんじゃない。そんな思いであたしは映美ちゃんを何とか思い留まらせたのだった。
当時既にバージンを卒業してた映美ちゃんは、セックス相手の同級生の彼氏のサイズに些か納得してなかったらしい。AVで何人ものAV嬢が激しく叫んでアヘ顔晒して絶頂したり、潮噴いてる様子を観て、自分はあれほど快感を感じられてないなあ、と映美ちゃんは不満に思ったそうな。それで、もっと大きなサイズを挿入すればもっと気持ちよくなれるんじゃないか、って考えたらしい。
そんな説明をしながら極太バイブの画像を食い入るように見つめる映美ちゃんの隣で、あたしは画面に映るバイブのサイズにドン引きしていた。とてもあんな巨大なサイズのものが、女の子のアソコに収まるなんて信じられなかったし、そんなモノに挑戦したがる映美ちゃんに戦慄した。
高一で処女喪失した映美ちゃんは、ヤリマンビッチとまではならなかったものの、高校時代を通して映美ちゃんとあたし二人の両手で追い付くくらいの人数とは経験を積んだそうだ。その甲斐あってか、潮吹きや頭の中が真っ白になるくらいのアクメも経験できたとのこと。そりゃー良かったね。おめでとう。

「ふーん」
あたしの説明を聞いても、華奈さんの白い目は未だ直らず。
「華奈さんだってバイブくらい持ってんでしょー?」
軽々しい口調で映美ちゃんが問いかける。何、その持ってて当たり前みたいな態度は。
「持ってるかっ!」
「ローターも?」
強い口調で否定する華奈さんに、映美ちゃんは疑わしそうな視線を向ける。
「もっ、持ってないわよっ」
一瞬動揺が見られた。映美ちゃんはそれを見逃すことなく、フフンと鼻で笑う。
「えー?本当に?」
舐めるような眼差しで華奈さんを見ながら、映美ちゃんは聞き返す。獲物を追い詰める蛇のようだ。
「い、今はね」
ガックリと敗北感を漂わせて華奈さんは告白した。
「前は持ってたんだ」
「ま、前に付き合ってた恋人が持って来て、そのまま置いてったのよ!」
華奈さんは自分で購入したんじゃないことを主張。前に付き合ってた恋人ってゆーと、枡多(ますだ)さんだろうか?あの人、見るからにSっ気強そうだしなー。などと顔を赤らめる華奈さんを見ながら考える。
「じゃーバイブは使ったことある?」
「ないわよっ。一度恋人が買って来たことあったけど、思いっきりブン投げてやった」
もはやローターを使ってたのは否定しないのね。バイブは力いっぱい投げつけたらブッ壊れて、未使用のままお亡くなりになってしまったとのこと。なむなむ。
「えー、勿体ない」
「知らないわよ」
因みにローターは、別れた後部屋の片付けしてたら発見したので、嫌がらせで宅配便で送り付けてやったとのこと。やるなあ、華奈さん。
何で男の人って、恋人や奥さんにエッチなおもちゃ使いたがるんだろうねー。恥ずかしがるのを見て興奮するのかなー。それとも女を激しくイカせて、雄としての自尊心を満足させたいのかね。かく言うあたしも大学時代の彼氏が使ってきたことあるよ。ローターはまあそれなりに気持ちよかったけど、バイブはあんまり質感とか好きじゃなかった。無理やりイカされる感じも嫌いだったし。だからバイブは一度だけで、もう使わないでって断った。尚吾は使ってくることないなー。その内使いたがったりするのかな?もっとスキンシップ重ねてお互い深く信頼を築いて、あと気分が盛り上がってる時だったら、使ってもいいかなー。常用になるのはヤダな。あくまでテイストとしてね。
「ところで何の話だったっけ?」
しれっとした顔で言う映美ちゃんに、華奈さんは呆れた視線を投げかけた。
「麻耶ちゃんの彼氏の話でしょ」
「あー、そーそー。麻耶の彼氏のアレのサイズの話だった」
言われて思い出した映美ちゃんはニパッと笑った。本当に嬉しそうだよな。
「で、バイブとかと比べてどうなの?」
「あの時映美ちゃんが見てたバイブ、とんでもないサイズだったじゃん!あんなのと比べられる訳ないでしょっ!」
映美ちゃんの非常識さを非難する。
どんだけの大きさを買うつもりだったのかと、映美ちゃんに向いた華奈さんの眼差しは冷ややかこの上なかった。
「じゃあさ、入れられた時の感じでどうなのよ?裂けちゃいそうとか、毎回入れられる度苦しかったりとかはない?」
何か生々しいな。
「そこまではないね。でも入ってくる時の感じは好きだな。ググッて身体を押し開かれる感触とか。あと、奥まで入ってる時の圧迫感も好きかな」
あー、言ってて自分でも生々しいって思う。
けど、この顔触れならいいかなって気がする。
「成る程成る程。サイズはまあ、満足と」
ごめんよー、尚吾。尚吾のサイズのこと細々と話したりして。夢にも思わないだろーなー。女友達相手にアレの大きさの話題で盛り上がってるなんて。




PREV / NEXT / TOP
inserted by FC2 system