【 FR(L)AG-ILE-MENT 】 ≪ BloodOrangeは好きですか? ≫


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待望!ほんっっとーに首をなっがーくして待ち焦がれていた、ミスチルのニューアルバムが遂に発売になったんだよお!もお、この感激を誰かに伝えたくてたまらないっ。この胸から弾け出しそうになってる喜びを我慢してるのなんて絶対無理っ。
ニューアルバム発売の告知がされてから、発売日を迎えるのがどれだけ待ち遠しくてたまらなかったことか。だけど日一日って発売日が近づくのを待ち焦がれて いる間も、ずうっと楽しみで楽しみでたまらなくて、そんな時間も期待ですっごくわくわくしながら毎日を過ごしてて楽しかったんだよね。
美桜(みお)達にはミスチルファンだってことを知られてて即座に言われた。
「ミスチル、アルバム出るんだね。萌奈美(もなみ)、もお待ち遠しくて仕方ないんでしょ?」
喜色満面の笑顔で「当然っ」って答えたのは言うまでもなかった。
発売日当日はもう講義が終わって速攻で帰宅した。何日も前から何度となく発売日のことを口にしてたので、当日はそわそわ落ち着かないあたしを見て美桜と清佳(さやか)は苦笑してたし、春音(はるね)は呆れ顔だった。
大学生にもなってって思うかも知れないけど、でも楽しみなものは楽しみなんだもん。それにね、やっぱりミスチルって特別なんだよ。ミスチルの曲を聴いてる と、本当に沢山の色んな考えが頭の中に巡ってきて、様々な感情が胸に迫ってきて、それは喜びだったり切なさだったり淋しさだったり、胸が熱くなって、心が 震えて、自分を認めてあげたくなって、それと同時にこんな自分じゃだめだって、焦りでいてもたってもいられなくなったりもして、あたしは揺るがせられる。

それにしても、タイトルの『[(an imitation)blood orange]』ってどういう意味が込められているんだろう?ネットでも大勢の ファンの人達が様々な推測や解釈を試みていて、ミスチルのアルバムの中でも今までになく意味深な、いつになく難解なアルバムタイトルだなあ、って感じがし てる。ミスチル自身が何処かでアルバムタイトルに込めた意味を語ったりするのかな?(或いはしてるのかな?)すごく知りたい。
「blood orange」って「血のように赤い色をした果肉のオレンジ」だよね?その前に括弧付きで「(an imitation)」ってあって、模 造品、偽物、まがい物、模倣、物真似ってことだけど、どうして括弧が付いてるのかな?それと「血のように赤い」っていう比喩表現の前に置かれてることで、 複層的な意味がそこには発生してるように感じられる。「“偽物の血のように赤い”オレンジ」?或いはネットとメディアを通してしか情報を得ることのなく なっている(出来なくなっている)、バーチャルなもので溢れているこの世界への揶揄、皮肉?・・・そんなのもひとつの解釈、推測に過ぎないけれど。でも、 そこで考えてみることこそが狙いなのかも知れない、なんて。
それから[ ](角括弧)の意味も謎なんだけど。ウィキペディアでちょっと調べてみたら、「丸括弧()が入れ子になる場合に、それぞれの括弧が区切る範囲 を明らかにするため用いることがある」ってあって、単純に考えたら(an imitation)って丸括弧が入れ子になってるから使われてるってことなん だけど、でもそもそもどうして[ ](角括弧)で括ってるんだろう?括ってるってことは、その括られてる内側のものは一体のものであり、不可分のもの、分 割できないものである、って示しているんだろうか?・・・そうするとどういう意味?ますます謎だ。
アルバムの中で「イミテーションの木」っていう曲があって、そこではイミテーションの木でも意味がある、存在価値がある、ってイミテーションであることを 決して否定的には捉えないで、前向きでポジティブな視線を向けているんだけど、両義的だなあって感じた。ミスチルの曲(特に近年の)にはそういう両義的な 視点で捉えている場面が数多くあるように思う。「擬態」もそうだし「フェイク」もそう。「hypnosis」「End of the day」なんかは反 語的っていうか、ポジティブとネガティブが揺れ動いて絶えず錯綜してて、一概に「こうだ」って言い尽くせないような印象を抱いてる。「hypnosis」 は曲的には「終わりなき旅」を彷彿とさせるような壮大さを感じる。でも「終わりなき旅」が文句無く聴く人を勇気付けて力づけてくれて、新たな一歩を踏み出 すため力強く背中を押してくれる曲であるのに対して、「hypnosis」は果たしてそうなのかな?って思う。「End of the day」も曲調の ポジティブさに対して歌詞がシニカルというか、決してポジティブとは言えない気がする。「本当はもう掴んでて 届いてて  気付いてないだけ」って歌いつ つ、でもその後に「あと少し そう信じて」って付け加えてて、信じることで何とか一歩を踏み出そうってしてる、そんな姿勢に見える。曲のラスト、「寒い夜 にだって終わりは来るさ 太陽は昇り どんな人の上にもまた新しい 暖かな光」ってポジティブに歌い終わってるんだけど、曲の終わり方がジャン!っていう かピシッ!って感じじゃなくって、何処か弱弱しさを思わせるんだよね。ポジティブに終わってはいるけれど、でも強い決意とか自信とかはそこには無くて、辛 うじてって感じがものすごくする。「どんな人の上にもまた」ってフレーズも何だか弱弱しさを印象付けている気がする。どんな人の上にも・・・こんな自分の 上にも、って歌われてはいない言葉がそこにはぼんやりと映し出されて見えるように思う。
両義性で言えば「過去と未来と交信する男」。どうして桜井さんはこの曲を作ったんだろうって、初めて聴いた時は思った。ミスチルとしてはすごく異色な、う うん異質な曲って印象がすっごくして。異色な曲っていえば「Loveはじめました」、「ロザリータ」なんかもそうだって思うんだけど、その中でもこの曲は 何だかミスチルらしくない、って感じが強くしたんだよね。それで匠(たくみ)くんにあたしの感じてた違和感を伝えたんだけど、匠くんは一つの考え方とし て、って前置きするかのように言ってから、自分の感じたことをあたしに話してくれた。
その匠くんの解釈を聞いてたら、あたしの中でこの曲に対する見方が180度変わってしまった。それはこの曲が、アルバム『[(an imitation)blood orange]』の中にあって、ものすごく重要な意味、役割を帯びてくるんだってこと。
匠くんはこんなことを言った。
「常識的、客観的に言えば、この曲で歌われているような人物はそれこそ偽者、まがいもの、いかがわしい人間って見られてしまう、この曲はそういう人物の側 の視点から語っていて、その限りでは彼の能力は決して嘘偽りではなく事実、真実に他ならないものであって、それを否定、批判する常識的な考え方、一般的な 見方、判断に懐疑を投げかけてるのかも知れない。現実的には多くの場合、霊感商法、悪徳商法、詐欺っていった、人からお金を騙し取る手段に使われてて、い かがわしさ、胡散くささが拭えなくて、懐疑の目で見ざるを得ないのが殆どなんだけど、もしかしたらごく少数の本物の不思議な能力を持った人達がいるのかも 知れなくて、何れにしても事実としてこういう人に救われたり助けられたりする人は確かにいて、その能力が果たして本物なのか、或いはまがいものなのかは知 る由もないけれど、だけどイミテーションだとしても存在価値があり、役割があるってことになる」
匠くんの話を聞いていて、もう思いもよらなかった景色が突然目の前に広がったような気がした。そんな捉え方があるなんて全然思いつきもしなかった。あたし は匠くんの語る言葉に大きく頷いた。それからこの曲は『[(an imitation)blood orange]』と不可分の一曲になった。その視点か らすればむしろ、この曲の何ていうのかな、わざとらしい感じ?作り物めいた感じ、作為めいた印象っていう全ては計算され尽した結果なんだとも言えるのかも 知れない。より“まがいもの”的な色彩を強く帯びさせることで、この曲の両義性は更に強固なものになるのかも知れない。そんな風に思った。
あるファンの人が「かぞえうた」はアルバムに収めないで欲しかった、ってコメントしてたんだけど、その気持ちはすごく理解できた。この曲ってこの国を襲っ たあの巨大な災厄の後、とてつもない無力感に囚われた日々が続いて、その中でだけど何ができるだろう、どうすればいいんだろう、って気持ちに衝き動かされ て生まれた曲で、それだけにアルバムの中に収録され記録されてしまうことに何処か違和感を感じてしまうんじゃないのかな?・・・でもだからこそ、とも思 う。あの時の衝き動かされた激しさに因ってではなく、その激しさが時間と共に薄らいだり和らいだりしてしまっても、決して終えてしまうことなく持続してい く、継続していく、その決意表明としてこの曲をアルバムに収めたんじゃないかな?そんな風には考えられないかな?
すごく気になったのが「常套句」。曲はすごくミスチルらしくて、これぞミスチル、っていう感じなんだけど、歌詞がどうしてこんなにも簡素なんだろう、って 思った。もっと言うと歌詞に殆ど意味がないっていう感じさえ受けた。ラブソングでいったら「365日」がすごく好きで、「同じ気持ちでいてくれたらいいな  針の穴に通すような願いを繋いで」とか「君に触れたい 心にキスしたい 昨日よりも深い場所で君と出逢いたい」なんていう、ものすごく素敵なフレーズが 沢山あって、桜井さんの作詞のセンスにただもう感激しまくりだったんだけど、でも「常套句」では短い歌詞の中で「君に会いたい 君に会いたい 愛しています 君はどう」ってフレーズが繰り返されるばかりで、すごく歌詞の印象が弱く感じてしまう。ただ繰り返されるフレーズに「常套句」って曲名はすごくハマって て、愛を伝える言葉って結局は単調な“常套句”にならざるを得ないってことなのかも知れないけど、それも桜井さんにしては捻りがなさ過ぎのような気もす る。もちろん桜井さんは一方ですんごいストレートなラブソングの名曲も沢山作ってはいるんだけれども。実のところどうなんだろう?あとちょっとワガママを 言えば、切ないバラードもいいんだけど(っていうかミスチルの曲はモチロン全部いいに決まってるんだけど)、あたし的には「口笛」みたいに、聴いてるとた まらなく匠くんと手を繋ぎたくなっちゃう、聴いてるだけで心をあっためてくれる、そんなラブソングもまた聴きたいなあ、って思っちゃったりして。なんて、 贅沢かな?
「Marshmallow day」は手放しでノレる曲で大好き。誰かも言ってたんだけど「youthful days」を思わせる疾走感溢れる軽快な一 曲。(今気がついたけど、「~day(s)」の部分が被ってるんだね。ひょっとしたらミスチルも曲名考える時に意識してたのかな?)聴いてるだけで胸が 躍ってワクワクして来る。桜井さんの抑揚のあるアップダウンの多い歌い方がすごく色気があって素敵。特に「君の吐息 甘い雰囲気に埋もれて」の部分がすっ ごくセクシー!

すぐにCDからWALKMANに取り込んで繰り返し聴いてて、もうほぼエンドレス状態で聴きまくってる。例によってプレイリストで、匠くんと一緒に意見を 交し合いながら、あたしと匠くん二人だけの『[(an imitation)blood orange]』を作っちゃった。その曲順は、
1.Happy Song
2.Marshmallow day
3.イミテーションの木
4.pieces
5.インマイタウン
6.過去と未来と交信する男
7.かぞえうた
8.常套句
9.End of the day
10.祈り~涙の軌道
11.hypnosis
っていう構成。
「Marshmallow day」と「イミテーションの木」は曲順をもっと後ろにしようかな、とも考えたんだけど、聴いていてしっくりこないようだったらまた変更すれば?って匠くんが言うので、取り合えずこの構成に落ち着いた。
ラストをどうしようか匠くんと二人してすっごく悩んだ。『SUPERMARKET FANTASY』では「終末のコンフィデンスソング」、『SENSE』では「365日」に、匠くんとも意見が一致してすんなり決まったんだけど、今回はア ルバムどおり「祈り~涙の軌道」にしようか「hypnosis」にしようか、それとも「Happy Song」もアリかな?なんて、なかなか決まらなかっ たんだよね。迷った末「hypnosis」をラストに置いた。遠くへと、彼方へと、虚空へと向かおうとする痛みが胸に迫った。こういうエンディングもいい な、って今では思ってて、聴き終わってしばらくの間、しん、とした無音の残響の中で、孤独が胸に忍び込んでくるのを噛み締めたりしてる。

アルバム発売に合わせてテレビの音楽番組への出演が沢山あって、ミスチルが演奏する姿を見られてすっごく嬉しい。ある番組で「hypnosis」を歌って て、決して桜井さんの声が出ている方じゃなかったって思うんだけど、でもとにかく想いを伝えよう、届けようっていう桜井さんの歌い方がすごくて、感動で胸 が震えた。「声」の中で桜井さんが歌ってるけど、「別に巧くなくていい 声が枯れてたっていい 受け止めてくれる誰かがその声を待っている」っていう、ま さにそう感じさせる桜井さんの歌、桜井さんの声だった。やっぱりミスチルってすごい、って思う。

期待に違わぬ素晴らしいアルバムだよね。またミスチルから沢山の感動、鮮やかに彩られた感情、幾つもの眩くきらめく宝石のような想いをもらっちゃった。
だけどまだまだ聴き足りてなんかなくって、それこそ「チューインガムの味のように消えてなくなったりしない」で、噛めば噛むほど味わいの増すスルメみたい (なんて言ったらミスチルに失礼かな?)に、聞き返すほどに、聴けば聴くほど、新しい感動、新しい驚き、新しい切なさ、新しい喜び、新しい気持ちが、あた しと匠くんの心にスコールみたいに降り注いで、あたし達を豊かにしてくれる。
掛け替えのない大切な愛おしい存在。匠くんと二人で大切に大切に抱き締めていこう、って思った。
 


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