【 FRAG-ILE-MENT 】 ≪ Home Maid 第2話 ≫


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結香にははっきり答えられずにいたけど、お風呂では当然匠くんの全身を洗ってあげたし、お風呂を出てからもたーっぷり匠くんにご奉仕した。
「それではご主人様っ、お身体を洗わせていただきますねっ」
宣言するあたしに匠くんはジト目を向けて来た。
「・・・続けるの、それ?」
モチロン!匠くんは嫌がってるけど、でもせっかくだし、メイド服着て一度そういう気持ちになってでもなくっちゃ恥ずかしくってメイド役なんて演じられないから、あたしとしては初志貫徹、メイド役を完遂するつもりだった。今夜一晩は匠くんのメイドなんだもんね。
始めに髪の毛を洗って続いて身体に移る。ボディソープをよく泡立てたボディタオルで匠くんの背中から洗い始め、左手、右手って洗った。
「はいっ、こちらをお向きください」
明るい声で呼びかけた。匠くんももう洗われる覚悟はできていたみたいで、素直にあたしの方に向き直ったけど、それでも恥ずかしいのか視線が泳いでいた。明 るいバスルームの中であたしの身体に遠慮のない視線を注ぐことに躊躇いを感じるのか、どぎまぎと落ち着かない素振りを見せる匠くんだった。あたしもくっき りとした灯りの下で匠くんに裸を見せるのは、恥ずかしく感じる気持ちがなくもなかったけど、視線が定まらない匠くんの様子に却って落ち着きを取り戻すこと ができた。
胸、お腹を洗い次第に下腹部へと下りて行く。だけど早くも興奮に頭を擡(もた)げ、期待に打ち震えているその部分は、素知らぬ振りをして通り過ぎ、太腿か ら足先へと洗って行く。もどかしげにひくついている匠くんのそれを見ない振りを決め込みながら、だけど意識はすごくその部分に注がれていた。見ないつもり でいながら、それでも視界の片隅にしっかり捉え続けてた。匠くんの興奮が伝染してくるみたいに、あたしの内側でも興奮と欲望が急速に膨れ上がり、下半身に 淀み始めるのを感じた。
両足のつま先まで泡だらけにして、そこで一回大きく深呼吸した。上ずりそうになる息を整える。ボディタオルを置いて直接ボディソープを手に取り、両掌を擦 り合わせよく泡立てる。シャボンに塗れた手を匠くんのそこへと伸ばす。もう幾度となく繰り返して来てる行為なのに、どきどきと心臓が激しく乱れている。
「こちらも洗わせていただきますっ。ご主人様っ」
匠くんにわざと知らせる。返事の代わりみたいに、そこが一度びくんって大きく震えた。
泡で包み込むようにそうっと優しく触れる。ふわふわした泡の頼りない感触にも匠くんのその部分は敏感に反応し、びくんびくんって大きく脈動した。その素直な反応を見て愛しさがこみ上げる。両掌で包み込み泡で愛撫するみたいにゆっくり上下させる。
うあっ。
堪えきれなくて匠くんが苦しげな喘ぎを漏らす。
匠くんが反応するのを嬉しく感じた。膨れ上がった匠くんのものを包み込んでいる掌に少し力を加える。右手でしっかりと握ってゆるゆると上下動させる。左手は幹を伝って根元の袋の部分をやわやわと擦り立てる。
くっ、あっ。耐え切れないかのようにがくんと匠くんの身体が仰け反る。
洗っているような愛撫しているような微妙さで、少しの間匠くんの強張りを擦り続けた。匠くんのソレは、はちきれんばかりにそそり立ってその存在を誇示して いる。このまま匠くんを激しい絶頂に導いてしまいたいっていう欲求を感じたけど、その気持ちを押し留めシャボンに塗れた匠くんの股間から手を離した。
「ご主人様、お流ししますねっ」
そう伝えてシャワーでシャボンを洗い流した。下腹部にシャワーを当てると、細かい水流の刺激に匠くんの興奮に膨らんだそれが、びくびくと身震いするように脈打ちを繰り返した。
泡を流し終えてシャワーを止めた。
「終わりましたぁ、ご主人様っ」
「ありがとう萌奈美」
匠くんが乱れた息を整えて告げた。
「今度は僕が洗ってあげる」
匠くんの言葉にどきんって心臓が跳ねる。
「お願いしてもよろしいんですかっ、ご主人様っ?」
一応メイドなので、ご主人様に身体を洗ってもらうなんて畏れ多くて訊ね返した。
「もちろん」
「ありがとうございますっ、ご主人様っ!」
感激に胸を震わせて、っていう心情を演じて、両手を胸の前で合わせて盛大に喜びを表明した。
メイド役に徹するあたしに、匠くんはちょっと呆れるような苦笑を浮かべた。
あたしの全身を匠くんは優しく洗ってくれた。匠くんはただ洗ってくれているだけなのに、匠くんの手があたしの肌に触れているだけで、激しく興奮し欲情し た。匠くんの指が滑るように硬く尖った先端に触れた瞬間、甘い喘ぎが口を割って漏れそうになった。じん、って痺れが残るその部分を、だけど匠くんの指はも う触れてくれなくて、別の部分へと移動していってしまった。もっと強く触って欲しくて、切なくてじれったかった。
あたしのそんな気持ちにはまるで気付かないかのように、匠くんはてきぱきとあたしの身体を洗っていった。それでもさっきのあたしの振る舞いに倣うみたい に、あたしの一番感じる場所は素通りして、匠くんはあたしの両足を洗った。両足のつま先までを洗い終え匠くんの手が離れた。離れていってしまう匠くんの手 を切なく感じると同時に、ドキン、って胸が期待に高まって大きく弾んだ。まだ洗っていないその部分に、匠くんが触れることを思い浮かべて。
とろとろと熱いぬめりを溢れさせているのを匠くんに知られてしまうことに、少し恥ずかしさを覚えた。だけどそれ以上に、早く匠くんに触れて欲しいって強く思った。匠くんに身体の隅々まで触れられ、全身が熱い疼きに包まれてた。
ぬるりっ。匠くんの指が入口をなぞるように擦った。
あふ、んっ。媚を含んだ甘えた声が漏れる。全身が震えそうな快感に身体を起こしていられず、匠くんにもたれかかった。匠くんの肩に顔を押し付ける。
その部分のぬめり具合を確認するみたいに、匠くんの指はぬるぬるとあたしの入口を弄っている。
んんっ、あっ、ん、ふっ。匠くんの指の動きに合わせるように、あたしの唇は甘い喘ぎを上げ続けた。
「こんなに濡らして、エッチなメイドだね」
匠くんが耳元で囁いた。その声に何処か揶揄するような響きを感じた。
「あっ、はあっ、あん、申し訳っ、ありませんっ。ご主人様あっ」
羞恥に染まりながら叫ぶかのような声で告げた。匠くんの指は浅く入口を割って入り、中の襞をゆるゆると擦り立てた。
「んあっ!はあっ、や、あっ、ダメェ」
「ここは喜んでるみたいだけど?」
弱弱しく抗うあたしに、イジワルな声で匠くんが問いかけた。
「あんっ、ご主人様のっ、意地悪ぅ!」
何だか二人してすっかりそのテのプレイに嵌りつつあるように思えた。

そのままバスルームで最後まで突き進んでしまいそうになりながら、何とかお互いの興奮を宥めてお風呂を出た。足の付け根に熱い疼きが淀んでいた。もどかしい気持ちで乱雑に身体を拭いて、まだ湿り気を帯びた身体で全裸のまま二人してベッドに雪崩れ込んだ。
覆い被さって来ようとする匠くんを制してベッドに横たえ、あたしが上になった。メイドなんだからご主人様にご奉仕しなくちゃね。
「ご主人様っ、ご奉仕させていただきますっ」
甘ーい声で匠くんに告げる。何となくメイドを演じるのもサマになってきたような気がした。
匠くんの股間でピンと直立しているそれにそっと触れる。少し触れただけで匠くんのそこは感激したように、びくん、って大きく打ち震えた。とっても素直な反応に嬉しくなった。匠くんの股間に顔を寄せる。匠くんの先端に優しくキスした。
くっ、う!頭上から切なげな呻きが聞こえた。匠くんの身体が雷に打たれたように弓なりに仰け反る。
その反応にまた満足して、今度は大きく口を開けて匠くんの強張りを口に含んだ。
うあっ!
苦鳴のような喘ぎが上がる。匠くんを今、激しく感じさせていることに、ぞくぞくって背筋が震えるほど興奮した。
舌先で匠くんの張り詰めた先端の裏側をくすぐる。唾液とは違うとろりとしたぬめりを味わう。咥えた匠くんの強張りをゆっくりと引き抜く。濡れた唇で擦り上げながら。
先端の膨らみに唇が当たって、強く音を立てて吸った。鋭い喘ぎが耳に届いて、びくびくって唇に挟んだ強張りが脈打った。
一度匠くんの股間から顔を上げて、横たわる匠くんの様子を確認した。唇を離しても匠くんのそそり立ったものはずっとひくついたままだ。はあはあって荒い呼 吸を繰り返しながら、匠くんは激しく胸を上下させている。満足を覚えて笑みが浮かんだ。そしてまた匠くんの股間で直立しているものに口を寄せた。今度は匠 くんの強張りの下できゅって縮こまっている二つの袋に舌を這わせる。ちろちろ、ってくすぐるように微妙なタッチで、交互に二つの膨らみを刺激した。くっ、 う、ああっ!匠くんの口からは絶え間なく、切なげで苦しげな喘ぎが漏れ続けている。
もっともっと匠くんを感じさせたかった。もっと気持ちよくなりたい、快感の頂で激しく欲望を吐き出したい、匠くんの頭がそのことしか考えられなくなるようにしてしまいたかった。匠くんの欲望をあたしがコントロールして、匠くんを支配したかった。
唾液でべとべとになった陰嚢から強張りの付け根を辿って、太い幹へと舌を移動させた。大きなアイスキャンディを舐める要領で、匠くんの硬いものを舐めしゃぶった。ぺろぺろと舐め上げ、唇でゆるゆると擦り立てた。
萌奈美っ。ずっと喘ぎ続けてて擦れた声で匠くんが呼んだ。切迫した響きがそこにはあった。強張りから口を離して顔を上げた。
薄暗闇の中で頭を擡げた匠くんがこちらを見ていた。その瞳には抗いようもない激しい欲望が灯って輝いていた。
「萌奈美の中に入りたい」
本能に支配された匠くんが率直な欲望を告げる。
「はい、ご主人様」
にっこりと完璧なメイドスマイルで頷いた。
匠くんの股間で雄雄しく直立しているものにスキンを被せ、ベッドに横たわる匠くんに馬乗りになった。
匠くんの熱い強張りに手を添え、膝立ちの姿勢で位置を確認する。匠くんの先端が入口に触れる。強張りが襞を押し開き身体の奥まで貫くのを思い描いて、ぞくぞくって身体を震わせた。
一度大きく呼吸し息を整える。そして腰を沈めた。
一瞬、硬い感触が股間を圧迫した。ぬるり、って匠くんの強張りは容易くあたしの中へと潜り込んだ。周りの襞を擦り上げながら、匠くんの屹立したものはぬか るんだ狭い道を押し広げていく。敏感な粘膜をずるずると擦り上げられて、言葉にできない快感が下腹部から背筋を這い登って頭の先まで突き抜けていく。抑え ようもない悦びの声があたしの口から放たれる。愛しい人のものを自分の中に導き入れる幸せに打ち震えた。
匠くんをじらしたりする余裕もなく、一番深い部分まで匠くんの熱い塊を迎え入れた。根元まで匠くんの硬く勃起したものを飲み込んで、大きく息を吐いた。あ たしの中でびくんびくんって脈動を繰り返すそれを感じて、甘くて切ない疼きが広がる。目を閉じて匠くんの感触を確かめていた。匠くんの強張りは火傷しそう なくらいに熱さを孕んでいて、あたしの敏感な粘膜はじりじりと炙られるような痺れを感じた。
「ご主人様ぁ、如何ですかあ?」
語尾を延ばした甘えた声で問いかけたら、匠くんはちょっと躊躇うように「ん・・・」って声を漏らしてから大きく深呼吸をした。
「すごく気持ちいいよ」
答える匠くんの声には幾分恥ずかしがる感じと、それから深い満足感と大きな喜びが含まれているのが伝わってきた。匠くんの喜びがあたしの喜びへと変わる。
「ご主人様にそう言っていただけて、すごく嬉しいですう」
従順でいて、ご主人様を悦ばせることにはとっても積極的で大胆な、そんな可愛いメイドを演じて告げた。
「もっと気持ちよくなってくださいねっ」
匠くんの細身の割には腹筋で引き締まっているお腹(匠くんは大学生の時、夏休みに突然思い立って腹筋をし始めたのだそうだ。それで30回からスタートして 毎日5回ずつ回数を増やしていき、夏休みの終わりには150回近く腹筋が出来るようになっていたんだって。それからは毎日150回続けることはしなかった けど、50回程度腹筋を続けているってことだった。こういうとこ、時々匠くんはよく分からなかったりする。積極的に身体を動かしたりしないけれど、身体を 動かすこと自体は嫌いじゃないみたい。)に両手を付いて腰を振った。最初は大きくゆっくりとした動きで、少しずつペースを速めていく。動きながら自分も匠 くんの硬い強張りで粘膜を擦り上げられて、次第に快楽に染まって自制が利かなくなっていった。上体を支えていられなくて匠くんに倒れ込んだ。匠くんの上で 身体を横たえ、甘美な快楽に思考が蕩けそうになりながら、インプットされたプログラムに従うように腰を動かし続けた。匠くんの手があたしの胸を弄り、固く 尖った先端を指先で転がす。そこからもじんじんと痺れるような快感が送られてくる。あたしが腰を打ち付けるのに合わせて、下からも匠くんが腰を突き上げ る。匠くんの張り詰めた先端があたしの粘膜の奥深くを抉る度、ズン、って重い快感が下腹部で爆ぜ、稲妻のような鋭い閃光があたしの思考を焦がした。
ああんっ。あっ、はあっ。ご主人様あっ。すごいですうっ。あんっ。気持ち、いいっ。
媚びるような喘ぎが自分の唇から漏れていた。快楽の虜になりながら、それでもメイド口調を続けるのを忘れなかったのは、我ながら偉いって思う。
ともすれば快楽に溺れて腰の動きが止まってしまいがちなあたしを、仰向けになった匠くんは下から激しく突き上げ責め立てた。ロデオで暴れる馬の上で必死に 振り落とされないようにしがみ付く人みたいに、速いリズムで腰を突き上げ続ける匠くんに、ぎゅって縋りついて身体を揺らしていた。
快感に耐えて固く閉じた瞼の裏で、幾つもの眩い光芒がストロボのように瞬く。マグマみたいな熱い感情の塊が身体の奥からせり上がってくる。
あっ、あっ、は、っあ。んっ、あっ!ご主人様あっ!もおっ、ダメえっ!あっ、はあっ、やあ、んっ!イっ、ちゃいますう!
訴えるような声で匠くんに知らせる。
匠くんの腰の動きが一層激しさを増したように感じた。乱暴な位の激しさで濡れた粘膜の奥を抉られ続けた。
あっ、ふあっ!だッめえッ!イクのおっ!イクうっ!
一際甲高く叫んでいた。思考が沸騰して泡立ち、意識が白い闇に飲み込まれる。
硬直する身体を戦慄かせながら匠くんにしがみ付いていた。
頭上で荒い呼吸を繰り返していた匠くんが鋭く呻いた。ぐっ、と強く腰を突き出して根元まであたしの中に挿入したまま、弓なりに反らした身体を強張らせて匠 くんは静止した。しがみ付くあたしを抱き締めた匠くんの全身に力が籠り、足の先までぴんと突っ張ったまま硬直している。快感に貫かれて身動きできないでい る匠くんの身体の中で、唯一あたしの中に根元まで埋まったその部分だけが、激しくびくびくと脈打っていた。薄い膜越しに匠くんが激しく射精しているのを感 じた。匠くんを絶頂に導くことができて、二人同時に達することができて、深い充足感を覚えた。
やがて匠くんは強張らせていた全身の力を抜き、深く息を吐いてベッドに沈み込んだ。熱く火照った匠くんの身体が愛しくて、両手を回して抱き締めた。精を放 ち終えたらしい匠くんの強張りは、余韻を味わうかのようにあたしの中で時折ひくついている。匠くんのものが動く度、柔らかい粘膜が刺激され、甘い疼きが 襲って来て身体をくねらせた。まだ快楽の残り火が燻る性器を擦られて、たちまち新たな炎が燃え盛り始めるのを感じた。
あたしから匠くんにキスした。乱暴に唇を擦り付けて舌を侵入させる。匠くんの歯並びをなぞるように舌を這わせ、更に口腔に差し入れる。匠くんの舌を探し出 して絡みつく。濡れた音を上げて吸い立て、舐った。ぐねぐねと軟体動物のように蠢いて、匠くんの口と舌を侵した。あたしの中では完全に力を取り戻した強張 りが、熱を帯びた粘膜をびくんびくんってノックして来て、二回戦の準備が整ったことを知らせている。
息苦しくなって唇を離した。あたしと匠くんの濡れた唇の間で、唾液が糸を引いてやがてぷつんって切れた。あたし達の口の周りはべっとりと濡れて、あたしと匠くんの中にある貪欲さを知らしめていた。
頬を膨らませて匠くんを見据える。
「もう、ダメじゃないですかあ」
匠くんを叱り付けた。
「あたしがご主人様にご奉仕するんですからねっ」
途中からはすっかり匠くんのペースで、匠くんが激しく腰を打ち付ける動きに翻弄されてしまって、全然メイドとしてのお勤めを果たせなかった。
今度こそあたしが匠くんに最高の快感をたっぷり堪能させてあげて、その果てに下半身で重苦しく淀んでいる塊を吐き出すことしか考えられなくして、苦しみみたいな喜びに包まれた匠くんを激しい絶頂に導いてあげるんだから。半ば意地を張るようにそんなことを思った。
匠くんの上で腰を大きく前後に揺さぶり始める。自分の動きで自身の敏感な粘膜も匠くんの強張りに擦り上げられ、たちまち思考が麻痺しそうなくらいの快感に 襲われ、我を失いそうになる。んっ。快楽に飲み込まれそうになりながら、息を詰めてそれに耐える。自分の快楽を必死にコントロールしつつ、腰を振って匠く んの性器を濡れた粘膜でしごき立てる。あたしの中から流れ出したぬめりで、あたしが動く度にぐちゅぐちゅっていういやらしい音が二人の繋がった部分から聞 こえてくる。
頭を染める快感で全身の力が抜けて頽(くずおれ)れそうになるのを懸命に堪えた。
「ご主人さまあ、んっ、どおですかあっ?あんっ、んくぅ、気持ち、ひあっ、いいですかあっ?」
跨るあたしの下で、匠くんは自分に襲いかかる快感をしっかり味わうように、或いは懸命に快感に耐えるように、固く瞼を閉じたまま何も答えなかった。全身を強張らせながら、ただ苦鳴とも喘ぎともつかない短く鋭い声を吐息と共に繰り返すばかりだった。
ショートしかかって殆ど思考停止に陥りかけている中で、ただひたすら腰を動かし続けることだけが頭にあった。
匠くんの硬いペニスを根元まで飲み込んで、踊るように腰をグラインドする。温かくぬめる粘膜で匠くんの強張り全体をこねくり回す。匠くんの先端があたしの膣の深い部分をぐりぐりと押し上げ、あたし自身も悲鳴を上げてしまいそうなくらい気持ちよかった。
自分を飲み込もうとする大きな波の予兆を間近に感じながら、絶対に匠くんを先に絶頂に導くんだって固く念じていた。
食いしばった唇から漏れる匠くんの声が切迫したものに変わる。匠くんの限界が近いことを知って更に激しく腰を振った。
んくっ、あっ、ふっ、ご、しゅじんさまあっ!どうかっ、イッてっ、くふ、んあっ、イッてっくださいっ!おもいっきりっ!ひあ、あっ、出してっ!あくうっ!ぜんぶっ、出してっ、くっ!くださいっ!あっ、くっうぅ!
心の中で呼びかけた。もうあたしもほんの少しだって余裕がなかった。今すぐ匠くんが達してくれなければ、あたしの方が先にイッてしまうに違いなかった。
強く腰を沈めた瞬間、匠くんの身体が跳ねた。
うあっ!
白濁しかかった意識の中、匠くんが喉の奥で叫ぶのが聞こえた。
腰を突き出すように身体を弓なりに仰け反らせたまま、匠くんは身体を硬直させた。あたしの中で匠くんの強張りが激しく脈動し、のたうち、蠢き続けている。
匠くんが射精したのを知ったその直後、あたしもまた激しい絶頂に攫われていた。
ああーっ!やあっ!イクっ!!アアアーっ!!
頭の中が沸騰してスパークする。視界が眩い光の闇に飲み込まれてホワイトアウトしていく。エネルギーの切れたロボットみたいに、かくんと匠くんの身体に倒れ込んだ。
匠くんに折り重なって汗ばんだ肌を密着させたまま、しばらく二人して荒い呼吸を繰り返した。夜のしじまが支配する部屋の中に、あたしと匠くんの乱れた息遣いがデュエットを奏でるように響き合っている。
ようやく呼吸も落ち着いてきて、一度大きく深呼吸をして匠くんに圧し掛かっていた上半身を起こした。激しい射精の直後で放心したように身体を投げ出している匠くんを見下ろす。
まだまだこんなモンじゃないんだから。そう心の中で呟く。
覆い被さって唇を塞ぐ。無理やり舌を差し込んで口腔を這い回る。匠くんの舌を捕まえて絡み付き、強く吸い立てた。まだ息が整わないでいる匠くんは、強引な 口付けに少し怯むかのような反応を見せた。匠くんの反応に構わず乱暴に口を侵し続ける。重ね合った唇から匠くんのくぐもった喘ぎが漏れた。
やっと唇を離したら、匠くんは長く潜水しててやっと水上に顔を出した人のように大きく息を継いで、酸欠になりかけている肺にたっぷりと新鮮な空気を送り込んだ。
余裕を与えずに匠くんの耳に唇を寄せて舐め回す。くすぐったそうに匠くんが首を竦める。
唾液に濡れた匠くんの耳元に囁く。
「ご主人様ぁ。もっともっと気持ちよくなって、いーっぱい出してくださいねっ」
そう告げて、ぐりぐりって腰を強く押し付ける。
「っ、萌奈美っ!待って!まだっ・・・」
射精してから少しも間を置かず性器を刺激されて、狼狽した匠くんが身体を起こそうとする。それを許さずに圧し掛かり匠くんの動きを封じる。上体で匠くんを 押さえ込んだまま、下半身だけを激しく上下動させた。腰を上げて匠くんのペニスを引き抜き、抜ける直前で今度は腰を強く打ちつけ根元まで匠くんを飲み込 む。その動きを繰り返す。助走なしのトップスピードで、匠くんのものを濡れた襞でしごき立てる。
快感の上限値を超えて匠くんが感じているのは、或いは苦痛に等しいものなのかも知れなかった。顎を逸らして眉間に深く皺を刻んだ表情で、苦鳴のような喘ぎ を放っている。そんな匠くんを見てぞくぞくした。もっと匠くんを乱れさせたかった。誰もこんな匠くんを知らないんだ。こんな風に快感に悶える匠くんをあた しだけが知ってる。その事実に興奮した。
あたし達二人の結合部からは、ぶつかり合う度にぐちゅぐちゅっていう、とてもいやらしい音が聞こえている。濡れて淫靡なその響きに激しく昂ぶった。
額の汗の滴が匠くんにぽたりと落ちる。ずっと動き続けて身体中が火照って熱かった。それなのに鳥肌が立っていた。
理解可能な閾値を超えた欲望が自分の中のとても深い場所、自分では辿り着けないくらい奥深い井戸の底のような場所にあった。狂気と絡みついた欲望。匠くん を狂わせたい。匠くんを壊してしまいたい。この大切な存在を壊して、誰も手の触れられないあたしだけのモノにしてしまいたい。
誰も辿り着くことの不可能な「存在しない場所(ユートピア)」に、二人だけで永遠に囚われていたい。匠くんっていう存在を自分だけのものにしたい。狂おしいほどに欲し、望んでいる。
匠くんの性器を一分の隙もなく、ぬめりに塗れた襞で覆い尽くしてしまえればいい。ぴったりと匠くんのペニスに張り付いてぬるぬると擦り立て、ペニスのどの 部分も戦慄くような快感を感じるしかできないようにしてしまおう。息をつく暇も与えずに、ほんの一瞬だって意識を逸らしたりできない純度の高い快感で、匠 くんの理性も意識も焼き切ってしまおう。一滴も残さないで空っぽになるまで精を放ちたいって欲望で匠くんの頭の中をいっぱいにしてしまおう。
匠くんを一心不乱にしごき立てながら、いつの間にか自分自身のリミットもほんのすぐそこまで近づいているのが突然分かった。匠くんの太いペニスで敏感な粘 膜をずるずると引きずられ、張り出した先端で膣の奥深くを抉るように突き上げられながら、繋がり合った部分からマグマのような快感の塊がせり上がってくる のを感じた。
「アアッ!ご主人様っ、ひあっ!すごいのっ、ダメっ!きちゃうっ!くぅ、んんっ!」
匠くんに唇を求められた。惑乱しながら反射的に舌を絡める。
ごりっとしたキツイ快感が膣奥を抉り、顎を逸らして仰け反る。ぎゅって瞼を閉じて襲い掛かる快感に必死で堪える。
「ひっ!あっ、ふぁ!ダメえっ!ご主人様っ!・・・一緒にっ!」
叫ぶように伝えて匠くんにしがみついた。
匠くんの腕に力が籠りあたしの身体をきつく抱き締める。
「っ!萌奈美っ!」
匠くんの擦れたような声があたしの名前を呼んだ。
「あっ!匠、くんっ!」
メイドの仮面が剥がれ落ちて、生の感情が剥き出しになった声で愛する人の名前を呼んだ。
その瞬間、意識が爆ぜた。
「ひっ!ア、アアアアアア!!」「く、うっ!ああ!」
まるで吹き荒れる嵐の只中で、激しい雨風に晒されているみたいだった。二人で強く抱き合いながら、荒れ狂う暴風雨が通り過ぎるのを全身を竦ませて待ち続けた。
身じろぎもできないで硬直しているあたしと匠くんの、繋がり合った部分だけが激しく蠢いている。どくどくと脈動を繰り返す匠くんをあたしは収縮する粘膜で絞り上げて、一滴も残さずペニスから精を吐き出させようとした。
匠くんと二人、全身を貫く快感に身を任せ酔い痴れた。
やがて絶頂の波が遠退き始め、あたし達は強張らせていた全身の力を抜いて身体を弛緩させた。
心地よい余韻に浸りながら、匠くんと密着し汗ばむ肌を触れ合わせ続けた。あたしを載せたまま匠くんの胸が大きく上下している。
匠くんと同時に忘我の頂に達することができて満ち足りた気持ちだった。匠くんの胸に甘えるように頬を摺り寄せながら、自然と笑みが浮かんだ。

ふと、まだ満足できない点が残ってるのに気付いた。
今も匠くんと二人で一緒にイッちゃった。それって、ご主人様もメイドと一緒に絶頂に達することができて、一体感を覚えて満足感を得られるのかも知れないけ ど、でもご奉仕するって観点からいえば、メイドとしてはちょっと力不足ってことになるんじゃない?あくまで自分は理性的に動いてご主人様の快感をコント ロールできなくちゃ、優秀なメイドとは言えないんじゃないかな。今だって最後までメイド役に徹してられなかったし。なんて考えて、あたしの中で更なるチャ レンジ精神がムクムクと湧き起こっていた。よーしっ!って心の中で気合を掛ける。
今度は自分が無我夢中になっちゃわないように気をつけなくっちゃ。
匠くんの上に馬乗りになっている状態から腰を上げ、まだ硬度を失わずにいる匠くんの強張りを引き抜いていく。引き抜きながら、まだ快感の名残が残る熟した粘膜をずるずると擦り上げられ、蕩けそうな快感に思わず全身の力が抜けて崩れ落ちてしまいそうになる。
頑張って気を引き締め、匠くんのペニスを完全に引き抜く。匠くんの身体から下りてシーツにぺたんって座り込む。
改めて匠くんを見下ろした。まだ幾分早い呼吸を繰り返して胸が大きく上下している。心も身体もばらばらになってしまいそうな快感が去って、匠くんはベッド の上で全身をだらしなく投げ出している。これからもっともっと匠くんを翻弄してあげる。少し悪戯っぽい気持ちになって、そう心の中で意地悪く囁く。
匠くんの股間のものは殆ど休みなしに続けざまに二回も激しく射精して、流石にその強張りを解き始めていた。辛うじて匠くんの下腹部で懸命に頭をもたげて頑 張っているかのように見えた。被せられてるスキンは匠くん自身から放出された粘液のぬめりで少し外れかけていて、先の方は二回分の精液が溜まってぽこんっ て膨らんで、その重さでうな垂れるように垂れ下がっている。ピンク色のラテックスの薄い袋の中にたっぷりと溜まった白く濁った粘液を目の当たりにして、そ の生々しさにすごく興奮した。ぞくぞくしながら匠くんの下腹部へと屈みこむ。
中の液体を零さないように気を付けながら、匠くんのペニスからスキンを外した。休みも与えられず続けて精を吐き出した匠くんのペニスは、もう疲れたって言いたげで、触られて不機嫌そうに身じろぎするみたいにひくついた。
外したスキンの根元を縛ってティッシュに包んでゴミ箱に捨てる。匠くんから出たものをポイッと捨ててしまうのは、ちょっと可哀相っていうか心無い気がしないでもなかった。
改めて濁った粘液に塗れてぬらつく匠くんのペニスへと屈みこむ。むっとした青臭さが鼻を突いて、ほんの一瞬眉を顰めた。すぐに気を取り直して更に顔を寄せる。興奮に胸がドキドキと高鳴る。小さく深呼吸して息を整えた。ぬめぬめしたそれをそっと口に含む。
先端部を口にした途端、うとうとしていたのを不意に起こされてびっくりして跳ね起きたかのように、匠くんのペニスは大きく弾んだ。
「う!っくあ!」
鋭く呻いて匠くんの身体が跳ねる。そして頭だけを擡げて股間に顔を埋めるあたしを見た。匠くんの視線を感じて、ペニスから口を離さず視線だけを匠くんに向 ける。匠くんは驚いた顔で大きく目を見開いてあたしのことを見つめている。そんな匠くんの反応を見て可笑しくなる。匠くんをもっと振り回して慌てさせたく なって、本格的に匠くんのペニスをしゃぶり始める。舌で先端を舐め回し、唇で擦り立てる。強い刺激を受けて匠くんのペニスは急速に力を取り戻していく。口 の中で見る見るうちに容積を増していった。
「萌奈美っ、そんなッ!・・・っうう!」
パニック状態のような匠くんの制止する声が届いたけど、構わず唇と舌による愛撫を続けた。無理やり勃起させられたペニスは、抗うように口の中で暴れている。
ペニスの根元で揺れる陰嚢をくすぐるように揉み擦る。中の形状を確かめるように指でなぞる。匠くんの腰が跳ね、苦しげな喘ぎが聞こえる。
口から引き抜いて唾液に塗れた強張りを強く握ってちょっと乱暴に擦り立てる。ぺろぺろと舌先で先端のくびれた部分を突くように舐める。
「いかがですかあ?ご主人様あ。我慢しようとしてもダメですよ。ご主人様の気持ちいいトコロは全部知り尽くしてるんですから。もっともっと気持ち良くして差し上げますからぁ。いーっぱい感じて、たっくさん出してくださいねっ」
からかうような調子で匠くんに囁き、口いっぱいにペニスを頬張る。頭を上下させ唇でペニス全体をマッサージする。
ううっ!匠くんの身体が弓なりに反って強張る。最大限まで回復した硬いペニスをすぽすぽと出し入れする。腰を突き出して匠くんの身体が一層しなる。もう限界が近いことが分かった。匠くんを射精に導くため、一心不乱に強張りをしゃぶった。
うあああっ!匠くんの切迫した喘ぎが聞こえた次の瞬間、口の中のペニスが狂ったように脈動し、先端の鈴口からどくどくと白濁液が放たれた。
間を置かずに連続して三度目の放出とあって、射精の勢いはだいぶ弱まってて、それほど用心しなくっても喉の奥に射ち出されてむせるような心配はなかった。 舌で先端の鈴口をぺろぺろ舐め上げ、最後まで射精を促す。口の中で匠くんのものは断末魔のようにびくびくとのたうっている。けれどもその動きもどこか猛々 しさを欠いていて、苦しげにさえあたしには感じられるものだった。
やがて口の中のペニスは小さく震えるようなひくつきを繰り返すだけになった。完全に射精を終えたみたいだった。
射精の快感が去って、匠くんは全身の力を抜いてベッドに深々と身体を沈めた。はあはあと荒く苦しげな呼吸を忙しなく繰り返し、大きく腹部を波打たせてい る。少し迷って、だけど口の中に溜まった精液を飲み込んだ。何となく幾分薄くて水っぽい感じがして、多少飲みやすいような気がした。ごくりって飲み込む 時、ペニスがひくんって打ち震えた。あたしの行為にびっくりしたみたいに、それと嬉しそうに。
一晩でもっと回数をこなしたことは今迄にあったけど、これだけ短い時間で、ほぼ休みなく立て続けに射精に導いたのは、これが初めてかも知れない。まだ口に 含んだままの匠くんのペニスは完全には衰えてはいなくて、中途半端に硬さと大きさを保って力なく舌の上に横たわっている。適度に弾力があってちょっと柔ら かい感触を面白く感じてた。何かちょっと可愛いかも。
ところであたしとしては、まだまだ手を緩めるつもりはなかった。
今夜はもう一滴だって余さずに吐き出させて、精液のストックが尽きて枯れ果てるまで匠くんをイカせてあげるつもりだった。
あっと、いけない。匠くん、じゃなくて、ご主人様だった。ダメだなあ。どうしてもエッチしてる内にメイド役のモードが解除されて、素に戻っちゃう。気を付けなきゃ。
さあて。もっともっとご主人様に喜んでもらわなくちゃ。それが喜びなのか苦しみなのか分からなくなる境界の、その向こうまで連れて行って差し上げますから、どうぞ楽しみにしててくださいねっ、ご主人様っ。
心の中で密やかに囁いて、再び気持ちをメイドモードに切り替える。
さあ、休憩はお終いです。起きてください。まどろんでいるみたいにくったりして強張りの解けかかったペニスを、揺り起こすように舌で転がす。びくり、って飛び起きるようにペニスが大きく跳ねる。うっあ!弛緩しきっていた匠くんの身体が身じろぎする。
舌と唇で刺激し、再び強制的に勃起させる。口の中で見る見る回復し、その硬さと大きさを取り戻していくのを嬉しく思った。あたしの与える刺激で匠くんは何 度だってこうやって復活してくれる。あたしの呼びかけに応えてくれる。それとも、すっかり調教されちゃってるのかな?なあんてね。
得意げに匠くんを突(つつ)き、転がし、舐(ねぶ)り、擦り立てた。
「萌奈美っ、もうっ、っ、いいって!」
身悶えしながら匠くんは降参するかのような声を放った。だけどもちろん中止する気なんてなくって、むしろ一層の激しさと愛しさを込めて匠くんのペニスを愛 撫した。強引に性感を煽られ快感を送り込まれて、匠くんはもう声も出せずにがくがく身体を震わせている。大きく開いたままの口から喘ぎとも呼吸ともつかな い音が漏れていた。ペニスから離れ二つの袋にも舌を這わせる。ここも匠くんの感じる部分だった。触れるか触れないかっていう微妙なタッチで袋をくすぐった り、中のボールを舌先で突いたり、平らにした舌全体でぐにぐにそれぞれの袋を揉んだり、袋全体を口の中に含んで転がしたりした。
十分に陰嚢を唾液で濡らしてから強張りに戻って、唇で根元から上へとその形状を辿っていく。
どうしようかな?このまま口でもう一回イカせちゃおうかな?
そうも思ったけど、下腹部の疼きが抑えられなくなってて、この愛しいもので貫かれたくって、ものすごく欲しくてたまらなくなってた。
今の流れと気持ちの高まりを中断してしまうのが惜しくて、一瞬このまま入れちゃってもいいかも、なんて頭を過ぎったものの、絶対匠くんに怒られるに決まっ てるから(匠くんだって付けない方が気持ちいいに違いないのに)、ちょっと残念に思わないでもなかったけど一旦匠くんから離れて、スキンの袋を取って乱暴 に破いて中身を取り出した。匠くんの股間で天に向かって直立しているものに、無駄のない手つきで被せる。
匠くんのペニスをじっと見据えて大きく息を吐く。期待にどくんどくんって心臓の脈打つ音が身体の中で大きく響いている。理性を繋ぐ紐がぷつりと断ち切れた みたいに匠くんに圧し掛かった。そして匠くんの股間に跨り、一息に腰を沈めて猛々しく勃起したものを根元まで飲み込んだ。ぬめりを纏った唇を割られ、熟れ た粘膜をごりごりと擦られ、性器の奥まですっかり硬さを取り戻したペニスで貫かれて、雷鳴のような快感が身体を駆け抜けた。
ああっ!快感に耐えるように頭を逸らし両瞼を堅く瞑った。匠くんのものを身体の一番奥まで導いたまま、動きを止めてその逞しい感触に酔いしれる。濡れた粘 膜をびくびくと脈打つ熱い強張りが刺激する。あたしの中にいる匠くんの熱さで蕩けてしまいそうだった。身体の芯が溶け出してとろとろと流れ出していくのが 分かる。このまま匠くんとひとつに溶け合う瞬間が訪れることを想像するだけで、全身が総毛立つような期待に包まれる。
熱い吐息を漏らしながら腰を動かす。深く匠くんのものを収めたまま、腰を回転させるように蠢かす。濡れた器官の一番奥がぐりぐりと押し上げられて、重苦しい疼きがそこから身体の隅々へ波状に広がっていく。もっともっと強い快感を欲しくなる。
どんどん気持ちが加速していく。その気持ちにぐいぐい引っ張られて、頭からの命令を待たずに肉体が勝手に快楽を貪り出す。短く腰を上げ、強く匠くんの下腹 部に打ち付ける。匠くんの太いもので粘膜を擦り立てるよりも、奥の部分を強く突き上げる動きを求めた。温かく濡れた粘膜に包まれて完全に力を取り戻してい る匠くんのペニスが、ごつごつした硬い快感をあたしの身体の熱く淀んだ深い場所に送り続ける。
匠くんの手が伸びてあたしの胸を掴む。自分を襲う快感を紛らわせるかのように、掴んだ胸を匠くんは荒々しく揉みしだいた。少し痛いくらいの力で激しく弄ら れながら、今のあたしにはその激しさはむしろ快感を倍加するものでしかなくなってた。背筋をぞくぞくっていう悪寒に似た快感が絶え間なく駆け上っていく。
擦れて引き攣れた声ともつかない荒い息遣いが匠くんから聞こえる。切迫した響きは時折音程をはずし、まるでファルセットで歌を囁いているみたいですごくセクシーで、あたしの官能を激しく煽った。あたしの口からも抑えようもなく快楽に染まった旋律が流れ出ていく。
匠くんの腕が胸から離れた。匠くんの胸についていたあたしの両手を掴んであたしを引き寄せる。匠くんに倒れ込むような形で重なり、背中に回された両手でしっかり抱き締められる。
動きを封じられてちょっと焦る。匠くんの腰が下から強く突き上げてくる。その度に爆ぜるような快感があたしの膣の深い部分で起こる。あっ、ダメっ。心の中で悲鳴を上げた。
「んっ、ダメえっ!あたしがご主人様をイカせてあげるのお!」
匠くんの動きを何とか止めようとしながら訴える。
「いいから。このままイカせて・・・」
耳元で囁いて匠くんはあたしを乗せたまま、腰を突き上げるスピードを加速させた。あたしの中で破裂する快感が体積を増した。
もう留めようもなく、快楽の螺旋を匠くんと二人、しっかり抱き合い一体となって上昇していった。
匠くんの腰があたしの下腹部にぶつかり、匠くんの最大限に勃起した器官で敏感な粘膜を擦り上げられ、身体の中の快感の生まれてくる深く淀んだ場所を抉られて、あたしは眩暈を起こしそうなスピードで絶頂へと導かれていった。
あああーっ、ダメえっ、んっ、ダメなのおっ!あっ、くふ、んっ、イッちゃうからあっ!ダメえっ!
頭を振り乱しながら訴える。このままじゃあたしの方が匠くんより先に達しちゃうっ。そんなのダメえっ!
匠くんのものがあたしの身体の奥を強く突き上げる度、頭の中で目も眩むばかりの光が爆ぜる。幾つも幾つも。絶え間なく明滅する白光に視界が奪われ全てが飲み込まれる。意識さえも白い光芒に溶け込んで白濁に掻き消された。
遠くに自分の声が聞こえてた。恥ずかしげもなく快楽に染まった嬌声。こんないやらしい声を上げて恥ずかしかった。でも自分の意志ではどうにもならない。
あたしを抱き締める匠くんの腕に力が籠る。痛いくらいに抱き締められた。身動きできないでいるあたしの中で、匠くんのものが激しく脈動した。ものすごい勢いで、びくんびくんって壊れたような激しさで脈打ちを繰り返した。
んっ!ああーっ!
狂ったみたいな脈動を繰り返す強張りが、達したばかりの膣の中で暴れ回っている。それを感じた刹那、前触れもないままあたしはまた激しい快感の波に飲まれ、遥かな高みへと運ばれていた。
全身を襲う凶暴な快感に手足の先まで硬直しながら耐え続けた。

快感が去って、まだぼんやりと意識が自分の中に戻って来ていない状態でそろりと身体を動かす。力を解いて投げ出されていた匠くんの腕が身体に回されて、動きを止められた。
「・・・萌奈美、ホントにもう降参・・・」
あたしが問いかけるより先に匠くんが口を開いた。
「頼む・・・少し、休ませて・・・」
まだ乱れた呼吸が整わないみたいで、息を継ぎながら喘ぐように匠くんは囁いた。
放って置いたらまた動かれるって警戒しているのか、匠くんはしっかりとあたしを抱き寄せて動きを封じている。
「だって、またあたしも一緒にイッちゃったんだもん。匠くん、じゃなくってご主人様のこと、気持ちよくして差し上げなくちゃいけないのに」
口を尖らせて不服を表明する。
「滅茶苦茶気持ちよかったよ、萌奈美の中。それに、萌奈美と一緒にイケてすっごく感じた。萌奈美のイクとこ、すごく可愛くってすごくエッチで滅茶苦茶感じた。もう快感が何倍にも増幅されて快楽中枢に叩き込まれてくる感じ」
抱き締められたまま耳元で囁かれた。感謝を告げるみたいに頬に優しいキスをくれた。そんなこと囁かれてメチャメチャ恥ずかしくなったけど、でも匠くんをそんなに気持ちよくしてあげられたんだったらすっごく嬉しい。すっごく誇らしく思う。
「嬉しいですう。ご主人様に気持ちよくなっていただけて。あたしの身体よかったですかあ?」
顔を上げて覗き込みながら問いかけた。匠くんもあたしのことを見る。その顔は苦笑交じりだった。未だに懲りずにメイド役を演じ続けるあたしに呆れてるんだか感心してるんだか、そんな表情を浮かべている。
「最高だよ。こんなに可愛くって優しくって献身的で料理も上手で、おまけにこんなにエッチなメイドなんて他の何処にもいない。世界一のメイドだよ」
ちょっとからかうかのような調子で匠くんが言う。
匠くんに二度も「エッチ」なんて言われて滅茶苦茶恥ずかしくなった。それはさあ、あたしだって、匠くんとエッチしてるともうそのコトしか頭になくなっ ちゃって、匠くんと二人でもっとすごい快感を味わいたくって、匠くんを今迄よりももっと感じさせたくなって、匠くんにもっともっと感じさせて欲しいって求 めてて、一回や二回じゃ満足できなくって、時間が許す限りずっと匠くんと抱き合っていたいって心の底で願ってて、そんな欲望を心の中にいつも抱いてる自 分って、もしかしたらすっごくエッチなのかもって、他の人よりもすっごくエッチなんじゃないのかな、って思ったりもするけど・・・どうなんだろ?普通、っ ていうか、他の人は?
恥ずかしさを誤魔化すように、そんな意地悪なこと言う匠くんをちょっと責めるように、無言で匠くんの裸の胸に頭を摺り寄せる。匠くんが髪に口付けをした。 優しい空気があたし達を包み込む。力を無くして小さくなった匠くんが押し出されてはずれかかっている。あたしの入口の辺りで、時折弱弱しい脈打ちを知らせ てくる。その感じがちょっと微笑ましくて、匠くんに気付かれないようにしながら口元を綻ばせた。
少し休憩したらまた気持ちよくしてあげるね。そう心の中でメッセージを送った。
匠くんの胸に頭を預けて、ぴったり重なり合ったまま、二人でゆったりと力を抜いて休息した。とくんとくんって規則正しく脈打つ匠くんの鼓動を聞いていたら、心から安らぐことができた。

少しの間休息を取ったあたしと匠くんは、やがてまた自分の中で欲望がむくりと頭を擡げてくるのを感じて、それを知らせ合うように視線を交わした。あたしの 中に半分だけ収まったままの匠くんのそれに、熱い欲情が流れ込んで急激に容積を増していき元気を取り戻すのを、充血した粘膜を押し広げられてまざまざと感 じ取っていた。
下腹部を押し上げる硬い感触が嬉しくて、喜びを湛えた笑顔で匠くんを見つめた。少し照れてるのか匠くんはちょっと困ったような笑顔を浮かべている。そんな 匠くんに愛おしさがこみ上げて唇を重ねた。深く深く口づけを交わして、この胸から溢れて零れ落ちる想いをぶつけた。二人で苦しげな吐息を漏らしながら、だ けど唇を離さなかった。もっともっと匠くんを貪りたかった。この飢えた心を匠くんで潤したかった。乱暴に唇を押し付け、歯がぶつかっても、唾液で口元がべ とべとになっても、匠くんを離さなかった。
もういい、って思った。よく出来たメイド役なんて放り出して、匠くんと快楽を貪ろうって決めた。
夢中になって匠くんの下腹部に自分の股間をぶつけた。あたしの下で身体を横たえたままの匠くんも、股間を激しく突き上げてくる。擦れ合う性器が、言葉には言い表すことなんてできない程の快感をもたらす。
あっ、ああんっ!クッ、ハアッ!ふあっ、くふんっ!ウ、ックッ・・・!あ、はあっんっ・・・!ウッ、ウウッ・・・!
競い合うような喘ぎが部屋に絶え間なく響き渡っている。匠くんの艶かしい声を聞いているだけで、あたしの感情は急速に昂ぶっていく。匠くんもあたしときっと同じだった。互いの喘ぎ声が添加剤になって、より一層二人共激しく昂ぶり欲情しているんだった。
ぬちゅっ。ちゅぷっ。あたし達が性器をぶつけ合う度、繋がった部分からとても聞いていられないような淫猥な音が響いてくる。そんないやらしい音を自分が立 てているなんて考えただけでかあっと頭に血が上ってきて、そんな淫らな音を聞きたくなくて、そんなの耳に届かなくなるくらいもっと我を忘れたくて、匠くん と濡れて感じる部分を擦り合わせることにひたすら没頭していった。
身体中の肌が粟立つような快感に飲まれて、ちゃんと考えることもできなくなりかけてて、ぐずぐずに崩れかかった思考能力で微かに、あたしの中にある深く薄 暗い場所から、重苦しく淀んだ塊がゆっくりとせり上がってくるのを感じ取った。そのどろりと粘ついた泥のような塊は、ものすごくゆっくりした動きで、じり じりとあたしの中を這い上がってくる。そのもどかしい程の鈍重な速度に苛立ち、怒りのような感情が芽生えた。もう耐えられなくて、待っていられなくって、 その鬱屈した淀みを一息に解き放ってしまいたかった。
一心不乱で、狂ったみたいに激しく腰を振った。匠くんの熱いペニスが、今あたしの中で膨れ上がっている重苦しい欲望を解き放ってくれるって、そう知ってる から。激しさを増すあたしの動きに応えるように、匠くんも腰の動きを強めた。浅く腰を引き、すぐに力を籠めて腰を突き上げる動きを匠くんは繰り返す。匠く んがあたしの身体の深い部分を抉る度、頭の中の回路が焼き切れてバチバチと火花を散らす。思考がショートしていく。
ンっあっ・・・やあッ、あっふ!・・・んくッ!だめンなっちゃ、うッ!もおッ、ダメだからぁ、あぁ、んンっ!はッ、んッ、ンん!
頭の中でずっと叫び続けてた。そうでもしなければ、きっと口から飛び出してしまう。だけど、匠くんの強張りが、ズン、って重い快感を身体の奥に注ぎ込んでくる度、固く閉じた唇がこじ開けられて、淫らな声が熱気の満ちる暗い室内に今にも解き放たれてしまいそうだった。
ごつごつした硬い感触が過敏になっている粘膜を休みなく擦り上げている。
温かく淀んだ洞窟の突き当たりを、ゴリッときつく抉る感覚があった。
その瞬間だった。前触れもなく、あたしの中をいっぱいに満たしていた淀みが溢れた。堰き止めていた堤防が決壊して、快楽の奔流が怒涛となって押し寄せてきて、一瞬であたしを飲み込み、攫った。
イッ、クゥっ・・・!
ア、アア、アアアーっ!!
我慢の限界を超えて、あたしの口からは快楽に染まった愉悦の声が恥ずかしげもなく放たれていた。
身体を仰け反らせたまま、小刻みに全身を震わせて襲い来る快感に耐えた。
も、なみッ!
匠くんの呼ぶ声が遠く届いた。余裕のない差し迫った響きだった。
硬直する身体を強く抱き締められた。根元まで埋まった匠くんの強張りが、あたしの中で、びくんびくんって激しい脈動を繰り返している。薄い膜を隔てて、匠 くんはあたしの中に欲望の塊を吐き出し続けた。匠くんのペニスが精液を吐き出し脈打つ度、あたしの熱を帯びた粘膜をぐいぐいと押し上げた。達して敏感なま まの性器はその刺激に耐えられなかった。
やッ・・・そ、んなっ・・・ダ、メェっ!
絶頂の波が引かないまま、また新たな波に攫われていた。
ヒッ・・・ア!・・・ア、アアアアアアアア!!
匠くんとあたしは、二人で身体を強張らせたまま、荒れ狂う嵐みたいな快楽の乱気流に晒されながら、強く抱き締め合いひとつに融け合った。
少しして射精を終えた匠くんと、絶頂が過ぎ去ったあたしは、どちらからともなく全身の強張りを解き、弛緩した手足をシーツの上に投げ出した。匠くんと汗ば む肌を密着させながら、身体に残る快楽の余韻に浸った。こうして匠くんと同時に達し、最高の快感を味わい、その名残の中でたゆたっている時間はとても幸せ で、何時だって何度だって、あたしの身体も心もこの上もなく満ち足りたものにしてくれた。
・・・萌奈美・・・。
揺ら揺らとして頼りなげな声であたしを呼び、匠くんが枕に沈めていた頭を擡げた。あたしも匠くんの胸に預けていた頭を起こし、匠くんを見つめた。
・・・匠くん。
あたしのままの声で、愛しい名前を告げる。
見つめ合って、互いの瞳に映る幸せの色を見つけて、匠くんと二人顔を綻ばせる。
匠くんの身体の上でにじり寄って、その唇にキスをする。唇を触れ合わせるだけの優しいキス。
触れ合わせた唇で色んな言葉を交わす。とっても気持ちよかった。うん。メチャメチャ気持ちよかった。嬉しい。すっごく幸せ。僕も。幸せだよ、すごく。
きゅんって心を抱き締められた。あたしも匠くんの心、抱き締めてあげられてるかな?きっと、出来てるよね?
あたし達はぴったりひっ付きあったまま、殆ど唇と唇が触れ合うような距離で、くすくす笑いながら囁き合った。
やがて、また匠くんのがあたしの中でムクリと動いて、見る見るうちにあたしの中をいっぱいに満たした。ぽっと火が灯るみたいに疼きが身体の奥で芽生えて、匠くんと視線で頷き合った。

そうしてあたしと匠くんはもう一度激しく愛し合い、6度目の射精と絶頂に互いを導き合ってから、その後十分に疲れた身体を寄り添わせて、満ち足りた気持ちで眠りに就いて一日を終えた。
それが昨日の晩の出来事だった。
やっぱり結香達に話せる筈ない。二人してどんだけヤリたがりなんだって、呆れるのを通り越して白い目で見られそうな気がした。

◆◆◆

ぬるりっ。濡れた柔らかい感触が耳の中を這う。危うく声が漏れそうになるのを堪えて、きゅっと口を噤(つぐ)む。
喘ぎ声を上がるのを何とかやり過ごしてほっと息をつこうとするあたしに、少しの隙だって匠くんは与えてくれなくて、全然手を緩めてくれるつもりなんてなさそうだった。
パジャマの上から匠くんの手があたしの胸を弄る。すぐにぽつんと尖った蕾を探し当て、指で摘み上げる。んっ、ふっ。きつく閉じた口の中で甘い声を放った。
そうしながら匠くんの右手はあたしの下腹部に伸び、既に濡れ始めている箇所を捉えた。布越しに匠くんの指で擦り立てられ、電流が流れたみたいに、びくんって全身を大きく仰け反らせた。堅く瞼を閉じる。懸命に喘ぎ声が漏れるのを我慢した。
あたしがもう必死になって声が出ちゃいそうになるのを我慢してるのに、匠くんはそんなの全然我関せずで、容赦なくあたしを責め立てた。パジャマの前ボタン をはずされ、直に胸を揉みしだかれながら、下着の中に侵入して来た右手の長い指で、熱くぬかるむ内側の襞を直接擦られた。
うねりのような快感が打ち寄せて大きな声を放ってしまいそうになるのを、その度に何とかやり過ごし息継ぎをするように小さな喘ぎを漏らし続けた。
返す返すもよく考えて行動すべきだった。今になって調子に乗っていた昨夜の自分を後悔した。まさか今夜こんな匠くんの逆襲に遭うなんて。(匠くんは、あく まで昨日のお礼だよ、って言い張ったけど、そんなの絶対ウソだ。仕返しに決まってる。ジト目であたしがそう主張したら、如何にも心外って面持ちの匠くんは 「僕が萌奈美にそんなことする筈ないだろ?」って訴えたけど、それならどうして目が笑ってるんだー!!)

匠くんの指で胸の蕾をくりくりと弄ばれ、痺れるような快感が途切れることなく襲ってくる。どろどろに蕩けた秘所を浅く深くリズミカルな動きで擦り立てられ た。あたしが快感に耐えようと身構える度、匠くんはタイミングをずらして今迄触れてなかった部分を刺激してきて、あたしを翻弄し続けた。身体の奥がもう抑 え切れないくらい疼いてる。匠くんの熱い昂ぶりをこの中に導き入れたくてたまらなくなった。
だけど匠くんは、あたしの求めに素直に応じてくれそうになくって。引き寄せようとするあたしの腕をやんわりとはずして、匠くんはあたしの胸に口づけをし た。尖った蕾を唇で咥えてきゅっきゅって押し潰す。んんっ。切ないような刺激に息を詰まらせた。唇で咥えたまま、尖らせた舌で舐るように転がす。ふっ、あ ふっ。我慢仕切れなくなって薄く開いた唇から、吐息に交じって喘ぎが漏れる。含んでいる乳首を匠くんが小刻みに吸う。ちゅっ、ちゅって湿った音が聞こえ て、すごくエッチな感じがして恥ずかしさを覚える。
軽く曲げられた匠くんの指が熱いぬかるみをかき混ぜる。指の腹で粘膜を擦り立て、指の先で奥の方をぐにぐにって強く圧迫する。う、はぁ、ぁんんっ!あんま り気持ちよくて、頭を仰け反らせながら絡みつくような喘ぎ声を上げた。充血した両方の蕾を、匠くんは交互に吸い立て、舌で転がし舐め上げ、優しく甘噛みし た。そうしながら匠くんの指は、甘美でいて苦しいような刺激に温かな蜜を溢れさせている性器に、休みなく出入りしている。浅い部分を早いピッチで擦った り、指の付け根までどっぷりと差し入れ、掌を陰部全体にぐりぐりと押し付けるように蠢かしたり、内側の襞の一枚一枚を指で撫でるように掻き回したり、与え られる快感にあたしの身体が慣れてしまわないように、ペースを変え、責め立てる場所を絶えずずらしながら、刺激し続けた。
ひっ・・・ンアっ!・・・く、ふッ!・・・あッ!ふぁッ・・・ッ、あうぅ・・・あンっ!・・・ハァァ!
麻耶さんに聞こえてしまわないか頭の片隅で絶えず気になり続けてて、思わず大きくなりかける声をその度に必死に我慢して、でも胸と性器の両方を匠くんに弄 (なぶ)られて、声を出さないでいるのなんて無理に決まってて、次第に振幅を増していく快感に身体も頭も支配されていきながら、その快感にもう全部放棄し て溺れ切ってしまいたいのに、それが出来なくて我慢し続けなくちゃいけないのがもどかしくて歯痒かった。どうしようもないくらい苦しかった。
もしかして匠くんは、麻耶さんに聞こえてしまうくらいの喘ぎ声を、わざとあたしに上げさせようとしてるんじゃないかって思えた。だって匠くんってば、全然 愛撫の手を緩めてくれないし。エッチの時の匠くんは時々ちょっとイジワルになる。あたしが恥ずかしくなるようなことをしたり言ったり、あたしにさせたり言 わせたりしようとする。・・・必ずしもそれがイヤってことでもないんだけど。恥ずかしく思いながら、でもすごく興奮して沢山濡れちゃう。それが分かって余 計にまた恥ずかしくなって、すごく濡らしてるのを匠くんに知られちゃわないか心配になって、それでまたもっと感じてきちゃう。
今も声を我慢しなくちゃいけないのが苦しくて、もしも麻耶さんに聞こえちゃったらどうしようって恥ずかしく感じてて、だけどその一方で、恥ずかしい声が麻 耶さんに聞こえちゃうかも知れないっていう焦りと不安でどきどきしている、そんなゆらゆら不安定に揺れてる綱渡りみたいな状況に、何だかすごく興奮してい る自分がいる。恥ずかしいのと興奮してるのと、もどかしいのと気持ちいいのと、そんなに激しくしないでって匠くんにお願いしたいのと、匠くんにもっともっ と感じさせて欲しいって求めたくなるのと、相反し矛盾する幾つもの気持ちがあたしの中でぶつかり合ってて、何だか訳が分かんなくなりそうなくらいぐちゃぐ ちゃになってて、もうどうしようもなくって、どうしたらいいのか考えをまとめたりすることなんて全然出来なくなってる。あたしの中からこの入り乱れてこん がらがって絡まり合ってこの胸に痞えてる、あたしを苦しくさせてる気持ちの塊を解き放ってしまいたかった。
いつの間にか匠くんの唾液で濡れた胸の先っぽが、空気に触れてひんやりしているのを感じた。
胸を蹂躙していた匠くんの口が、そこから離れているのに気付いた、次の瞬間だった。
濡れて弾力のある感触に、ぬるりと割れ目を舐め上げられていた。はみ出ている陰唇に唾液を塗すように舌を這わされ、入口のすぐ上にある真珠を転がされた。
電流みたいな強い刺激が全身を駆け巡る。まるで感電したかのように身体を硬直させた。
ひっ!いやアッ!
充血して膨らんだ小粒を濡れた舌で突かれて、ひとたまりもなく、快楽の階段を何段か抜かしで駆け上っていった。
ン!ンンンンンンーッ!!
危うく絶叫のような声が出そうになるのを、唇に強く手を押し当てて防いだ。くぐもった声が部屋に響いた。
力が籠って硬直した四肢を、わなわなと小刻みに震わせ続けた。
匠くんの口と指が、あたしの敏感な場所を尚も責め立て続ける。
ッ!ダ、メエっ!
達した直後なのに、もう忘我の頂に片足を載せかけていた。心の中で制止を叫んだ。だけど、手遅れだった。
ンアッ!ン、ン、ンンンンンンンン!!
身体をがくがくと戦慄かせながら二回目の絶頂に達した。一度目の絶頂の快感の波が去り切らないまま、すぐまた新たな快楽の波が押し寄せて、ぶつかり合った波は何倍もの高さにも達した。
一度目とは比べ物にならない高みに打ち上げられて、快感と共に苦痛にも等しい感情を味わっていた。心が軋むほどの快楽に恐怖さえ感じて顔を歪めた。イッた状態のまま、なかなか戻ってこれなかった。
あ、ハアっ。ハ、アッ。気付かないうちに呼吸をするのを忘れていた。息が苦しくて酸素を求め夢中で喘いだ。
何度も深く呼吸しながら、イキ続けている間ずっと強張らせてた身体の力を解いて、あたしはベッドに深く沈み込もうとした。
だけど、匠くんはそれも許してくれなかった。
あたしが絶頂に達している間動きを止めていた匠くんは、あたしが身体を休めようとした途端、再び口と指の刺激を再開させた。途端にあたしの中で快感が膨れ上がっていく。
ひ!ヤっ!ウソぉ!
匠くんの舌が溢れ出る蜜を掬い取るように舐め、陰唇を割って熱く淀んだ穴の内部に潜り込んでくる。固く尖った舌先が粘膜を押し広げて入り込み、内側の襞を舐め上げる。
アア!ンアア!ッ、た、くみっ、くんっ!ヤッ、ヤダっ!まってッ!っ、ヒッ!ねえ!んッくぅ!お、ねがいっ!あンっ、イイッ!
激しく頭を振った。汗に濡れた髪が頬に張り付く。それが匠くんが与えてくれる快感を拒もうとしてなのか、それとも恐ろしい程の快感に耐えようとしてなのか、自分でも分からなかった。
自分がどうなってしまうのか分からなくて、あたしの神経回路からこの快楽を切り離してしまいたかった。
それなのに身体は、匠くんの与えてくれる快感をただ無防備なままに受け入れるしかなくって、尖った舌で敏感な萌芽を執拗に転がされ、二本の指で熱くぬかるんだ膣を音を立ててかき回されて、止めようもなく反応し高まっていった。
たった今達したばかりのまだ快楽が燻り続ける花芯は、いとも簡単に絶頂へと誘(いざな)われた。
ンン!ンアァ!ン、フッ!ンッ、ンクゥ、ンー!ンンンンンンーッ!
少しでも気を緩めたらどうしようもなく淫らな、自分のとは思えないような嬌声が放たれてしまいそうで、必死で口を塞いで声を殺しながら、身体を硬直させ戦 慄かせ続けた。全身が粟立つほどの快感があたしをひと飲みにした。恐怖のような快楽。自分が感じているのがそのどちらなのか今ではもう分からなくなって た。
イクッ!!イクゥ!!ンアアアアアアアーッ!!
遠退きそうな意識の中で、自分の頭の中の叫びが声となって夜の静寂の中に響き渡っていないか、全然自信が持てなかった。

我に返ったら、薄い闇を隔ててすぐ目の前に匠くんの顔があった。目が合って匠くんの口元が小さく綻んだ。かあっと顔が火照る。イッてる時のだらしない顔を 見られてたって思ったら、恥ずかしくてたまらなくなった。誤魔化すように匠くんの頭を抱き寄せて乱暴に唇を押し付けた。躊躇いなく匠くんの唇を割って口の 中に舌を這わせる。匠くんの舌を探し当て絡ませ強く吸い付く。くぐもった吐息を漏らしながら、喉の渇きを癒す救いの泉であるかのように匠くんの唾液を啜っ た。
もう何回もイカされてるのに身体は飢えていた。達した後の鈍い快楽の名残にソコはひくつきながら、それでも物足りなかった。もっと硬く熱い塊であたしをいっぱいに満たして欲しい。欲情してぼうっと霞がかかったような意識で、ただ強くそれだけを欲した。
「たくみ、くぅん」
媚びるような響きで求めた。
匠くんの強張りに手を伸ばす。パジャマの上からそっと握ったら、大きく膨らんだソコが、びくんって大きく脈打った。この熱く昂ぶったもので早く貫かれたいって強く望んだ。
「来て」
囁いて匠くんの身体を引き寄せる。
だけど匠くんは入って来てくれなくて。
「まだ十分にご奉仕してないけど?」なんて、イジワルを言ってじらしてくる。
闇の中で目を凝らしたら、ちょっとイジワルな笑みが匠くんの口元に浮かんでた。もおっ。胸の中で文句を言う。恥ずかしかったけど我慢できなくて、お願いしないではいられなかった。
「いいから・・・匠くんのこれ、ちょうだい」
きゅっきゅってパジャマ越しに擦り立てながら匠くんを求めた。
匠くんの小さな忍び笑いが聞こえた。
「エッチだね。萌奈美」
顔を寄せた匠くんに至近距離で囁かれた。
うーっ、匠くんっ!声には出さず匠くんに抗議する。ぜーったい匠くん、あたしを恥ずかしい気持ちにさせて楽しんでるんだ。くやしいって気持ちもあったけど、でも身体はもう少しだって我慢なんてできなくって。匠くんに抗えなかった。
「ちょっと待ってて」
小さくキスをくれた匠くんはあたしから離れて行った。
ああんっ!匠くんっ、早くっ!お預けを言いつけられた犬みたいな気持ちだった。匠くんが離れてしまったのがやるせなかった。身悶えしたい心境で匠くんを待った。暗闇の向こう、ベッドサイドの辺りでごそごそって物音がしてる。
やきもきしながら待っていたら、ギシリってベッドが軋み音を立てて、匠くんが圧し掛かるように身体を重ねて来た。
待ちかねた気持ちで匠くんの身体に両手を回し抱き寄せた。
「お待たせ」
本当だよっ、もう待ち焦がれちゃったよっ!声には出さないで文句を言い立てた。
匠くんが自分のものに手を添えて位置を確かめている。薄い膜に覆われた匠くんの強張りがあたしの身体を探っている感触に、ぞくりと悪寒が走る。そしてあたしの濡れた入口に匠くんのものが押し当てられる。これから訪れる快感への期待でぞくぞくって背筋が震えた。
匠くんが腰を進める。あたしのそこはもう恥ずかしいぬめりが溢れていて、匠くんの太い強張りを容易に受け入れた。
あふう!ぬるりと硬く大きな異物が敏感な粘膜を押し広げ潜り込んでくる感触に、艶かしい嬌声が放たれるのを我慢できなかった。濡れた襞をずるずると擦りながら、匠くんのものがあたしの中に進入して来る。
匠くんの硬いものでぬめった粘膜を擦り立てられて、言いようもない快感が身体を這い登って来て全身を硬直させた。
匠くんが強く腰を打ち付け、硬く屹立した匠くんのものが根元まであたしの中に埋まった。
ズン、って重い快感が熱く淀んだ深い部分を抉り、あたしは弓なりに身体を仰け反らせた。
ひあっ!甲高い叫びが喉をせり上がり口から飛び出しそうになるのを、眉間に皺を寄せて必死に堪えた。
ぎゅうって身体を硬くして、止め処なく押し寄せる快楽の波に耐えた。けれどそんなあたしを翻弄するように、匠くんは敏感な粘膜をいっぱいに押し広げ乱暴に 掻き回した。最大限に勃起した匠くんの逞しいものが、刺激を受けて熱を帯びた襞を引きずりながら出入りを繰り返す。匠くんがあたしの中で動く度、言葉にな らない甘い快感が湧き立ってぞくぞくと身体が震えた。
匠くんが腰を引いてあたしの中から出ていってしまいそうになる。あたしの中がぽっかりと虚ろになりかけて切なくなる。腰を浮かせて匠くんを離すまいとし た。次の瞬間、今にもあたしから抜け出てしまいそうだった匠くんの強張りは、一息にあたしの一番奥を抉った。ズシン!一瞬遅れて重く強い快感があたしの頭 の先から足の爪先までを貫いていた。全身を大きく仰け反らせながら、大きく開け放った口から抑えようもない嬌声が解き放たれていった。
約束を守れなかった。麻耶さんに聞こえてしまうに違いないっていう焦りと共に、快感に痺れて麻痺しかけた頭でそう思った。
けれど、声は夜の闇に放たれることはなかった。一瞬早く、匠くんの唇があたしの唇を塞いで、実際にはくぐもった呻きが漏れただけだった。
ほっとしたのも束の間だった。大きな喘ぎ声を上げそうになって動揺してるあたしにお構いなく、匠くんは腰を引いては強く打ち付ける動きを繰り返した。ズン ズンと身体の奥の感じる場所を激しく攻め立てられ、あたしはもう何の抵抗も出来ず、無防備なまま快感の螺旋を駆け上っていくしかなかった。匠くんの突き上 げる動きが速度を増していく。匠くんの口腔に躊躇いもなく恥ずかしい喘ぎを放ち続けた。頭の中で破裂しそうなまでに快感が膨れ上がっていく。
うーっ!んーっ!強く匠くんにしがみ付きながら、くぐもった叫びを上げて限界だってことを匠くんに知らせようとした。
匠くんはそれに気付いてくれた。あたしを更なる高みに届かせようとして、腰の動きを速め、更に強くあたしの熱く熔けた花芯を貫き、抉った。
一分の隙もなく匠くんの太いモノで埋め尽くされた粘膜をずりずりと擦られ、どろどろとしたマグマのような重く淀んだ快感に疼く身体の奥を激しく突き上げられて、頭の中で限界まで膨れ上がった快感が粉々に弾けた。
あーっ!やあッ!もおっ、だッ、めえッ!、イ、クッ!
眩い閃光が視界を包んだ。弓なりに強張った身体を、匠くんは尚も貫き続けた。絶頂しながら、頭の奥で幾つもの閃光が爆ぜる。苦痛と快感とが絡み合った感情の濁流に何度も何度も飲み込まれて、硬直する身体をぶるぶると痙攣させ続けた。
快楽に侵食された意識に、匠くんが漏らした鋭く短い呻き声が遠く届いた。
身体の奥に匠くんの強張りが強く打ち付けられるのを感じた。絶頂に飲まれた身体は感覚が麻痺しかかっていて、それはぼんやりと鈍くしか感じ取れなかった。
直後に匠くんはあたしの身体を強く抱き締めた。匠くんの動きが止まった。あたしの身体の深い部分で匠くんのいきり立ったものだけが、びくびくと激しく脈打っていた。匠くんも達している。それが分かって嬉しかった。
ほとんど同時に二人で達することが出来て満足だったし、匠くんと繋がったまま、匠くんの逞しいものをまだ身体の奥深くに導き入れたまま、激しい絶頂の余韻 に浸りながら弛緩しているこの時間は、とても幸せに包まれていた。さんざん喘ぎ続けて乱れた息を、何度も深呼吸を繰り返して整える。あたしに体重をかけな いように気遣って、中途半端な体勢のまま、匠くんは両肘と両膝で自分の身体を支えている。あたしの上で荒い息を吐(つ)いている匠くんをとても愛おしく 思った。もっとあたしの上に乗っかっても大丈夫だよ。そう知らせるようにそっと匠くんを抱き寄せる。あたしの動きに従うみたいに力を抜いた匠くんの身体が 覆い被さって来た。匠くんの重みを心地よく感じた。満ち足りた気持ちで、脱力して圧し掛かっている匠くんのじっとりと汗ばんだ身体を抱き締めた。
あたしと匠くんは繋がり合ったまま、時間と共に深みを増す夜の中で、息を潜めるようにして身体を休めた。二人で一緒に激しい絶頂に至ることが出来てとても 充足した気持ちでいる筈なのに、あたし達の意志とは関係なく、繋がり合った部分は更なる快感を求めるように、互いの敏感な器官を休むことなく刺激し続けて いた。あたしの粘膜は匠くんのものを優しく締め付け、それに応えるように匠くんの強張りはあたしの中でびくびくと脈打ちを繰り返している。身体が求める欲 望に引きずられて、あたしと匠くんの思考も新たな快感を求め始めた。言葉を交わさなくてもその気持ちは伝わって、あたし達は闇の中で共犯者のように視線を 交わし合い、行動を起こした。
明日は学校もあるし、それにさっきは何とか大きな声を出さずに済んだけど、今度も大丈夫って保証は全然なかった。そんな一抹の気掛かりが心の片隅で弱弱し い主張を唱えてたけど、加速し始めた欲望を押し留めるのなんてもう出来っこなかった。すぐにそんな懸念は意識の彼方に放り投げて、匠くんとの二人の行為に 没頭していった。

思う存分快楽を味わって、深い夜の中に二人で身を寄せ合っていた。脱ぎ散らかしたパジャマと下着を身に着け直して、布団に潜り込んで親密な闇に包(くる) まりながら、殆ど唇が触れ合うような近さで声を潜めて囁き合う。心も身体も満ち足りて、自然と顔が綻んできて仕方なかった。
「麻耶さんに声聞こえちゃわなかったかな?」ちょっと心配だった。
「どうかなあ?」答える匠くんの声には含み笑いが混じっている。
「もうっ。匠くんのイジワル」拗ねるように言って、尖らせた唇で匠くんの唇をつつく。
「ゴメン」お詫びのつもりなのか、匠くんの唇が優しいキスを返してくれる。
少しの間、匠くんとの甘く柔らかなキスに溺れる。キスしながら少し不思議な気がした。さっきまでエッチしてる間は、キスだけであんなに感じて、すごく昂 ぶってすごく濡れてきちゃったのに、今はキスに酔いながら、でもすごく優しい幸せに包まれてる。同じキスなのに何でこんなに全然違う風に感じるんだろう? 何だか、すっごく不思議。でもきっとだから、飽きることなく匠くんとのキスを求めちゃうのかな。沢山の色とりどりの鮮やかな感情をプレゼントしてくれるか ら、匠くんがくれるキスに夢中になっちゃうのかもしれない。夢中なまま、この夢から醒めることなんて、多分絶対ないんだろうなって、そう思う。
ちゅ、って小さな響きを立てて唇を離した。鼻先をくっ付けながらくすくす笑い合う。
「でも、やっぱりちょっと悔しいかも」
「何のこと?」
不思議そうな匠くんの声が聞き返す。
「だって、昨日はもうメイドとして匠くんにご奉仕して、匠くんのコトもう目一杯感じさせちゃって、メチャクチャ気持ちよくさせて、それで“これ以上は無 理、もう降参”って匠くんが言うくらい参らせちゃおうって、そう思ってたんだよ。なのに、結局もうそんなのどーでもよくなっちゃうくらい匠くんにいっぱい 感じさせられちゃったしさ。今日だって匠くんにイカされっぱなしで、感じさせられてばっかりで、全然敵わないんだもん」
言ってるうちに何だかすっごく不公平な気がして、本気で悔しくなってきた。やっぱズルイよね。
暗闇に目を凝らしてちょっと匠くんを睨む。
「そんなこと悔しがってたの?」
少しの間があって思ってもみなかったって感じの匠くんの声が聞こえた。
そんなこと?カチンって来るよ、それ。
「そんなことじゃないもん」匠くんに抗議する。
「あのさあ」ぼやくような感じで匠くんが言う。
「夜くらいは僕にも花持たせてくれたっていいと思わない?」
どういうことなのかよく理解できなかった。
「正直、僕は萌奈美に振り回されっぱなしなんだけど」
匠くんの溜息が聞こえた気がした。
「萌奈美と出会ってからずっと。一度だって萌奈美に勝てたことなんてないよ。そう思えた試しがない」
こつん、って匠くんがおでこをぶつけてくる。
「そ、そんなことないと思うけど・・・」
思いも拠らないことを匠くんに言われてすごく焦った。
「本人は全然自覚ないんだからね」
呆れたって感じで言われる。だ、だって、そんなこと言われたって・・・。匠くんの言うことが納得できなくて、ちょっと不満に思いながら胸の中で抗議の声を上げる。
「周りには一目瞭然だってのにね」
匠くんが続けた。
「誰に聞いたって、僕が萌奈美に敵う訳がない、そんなの当たり前、一生僕は萌奈美に勝てない、頭が上がらない、エトセトラエトセトラ・・・。麻耶は基よ り、九条と天根さんは言うに及ばず、伸夫も、丹生谷さんと紗希さんの二人も、御厨さんも、ウチの母さんも、それに萌奈美のお母さんだって、それこそ口を揃 えて言うに決まってる」
むしろ匠くんの方がよっぽど悔しそうな感じだった。
「誰より一番僕がよく分かってる。萌奈美に勝てる筈ないって」
遂にはもう諦めたってニュアンスで告げる匠くんだった。でもそう言ってる割には、匠くんの声は何だか嬉しそうな感じに聞こえた。
えーっと・・・ちょっと複雑な心境だった。
だって聞きようによっては、それって匠くんをあたしが尻に敷いてるってことな訳だし、匠くんの言葉を信用すれば、周りからは誰からもそう見られてるってことだよね?何かそれこそ恐妻家の夫婦みたい。ちょっと心外に思わないでもない。
そうも思うんだけど、でも、匠くんから「勝てる気がしない」なんて言われちゃうと、何気に嬉しかったりする。それって決定的なアドバンテージがあたしにあ るってこと?何か顔がニヤけちゃいそうになる。もしかしたら、例によって上手く言いくるめられてるのかもって思わないでもないけど。ま、いいかな?

「そろそろ寝なくちゃ」
明日も学校があるあたしを心配して匠くんが言う。
「そうだね」
朝起きなくちゃいけないことを考えて、ちょっぴり憂鬱な気持ちになる。
そんなあたしの胸の内が匠くんに透けて見えてしまったのか、匠くんの腕が回されて優しく抱き締められる。優しい匠くんの体温に包まれる。この温もりに抱か れて、限りなく安心できて心から安らぐことができる。大きく息をついて、匠くんの胸に顔を摺り寄せた。匠くんも姿勢を直して、二人で眠りに就く体勢を取 る。
もうじき安らかな眠りに導かれる予感を感じながら、胸の中で思った。

やっぱり匠くんはあたしの大切なご主人様だよ。心から愛してます。はーと
 


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