【 FR(L)AG-ILE-MENT 】 ≪ Suger Love 第3話 ≫


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それから数十分後あたしと匠くんは、匠くんが住むマンションの一階に入っている「おくどさん」っていう和食のお店にいた。
ママとの電話を終えてしばし呆然としていたあたし達は、落ち着いてみるとひどくお腹が減っていることに気が付いた。考えてみればあれだけ激しく運動(?)したんだから当たり前だった。
どれも美味しそうな料理名が載っているメニューを前に激しく迷って、匠くんに笑われながら料理を選んだ。
十分以上悩んだ末に二人で、栗かぼちゃと白菜の重ね蒸し、あったか野菜とベーコンの彩りサラダ、揚げ茄子の煮びたし、五穀ひじき、沖縄産アグー豚のメンチ カツ、高菜と揚げじゃこのまぜごはん、ネギ味噌の焼きおにぎり2個、自家製の西京味噌焼き(今日のお魚は鮭だった)、自家製ベーコンを注文した。
運ばれて来た料理はどれも美味しくて、特に自家製ベーコンは厚切りで絶品だった。にこにこしながら食べていて、ふと視線を感じた。
匠くんが笑ってあたしを見つめていた。
ひょっとしてよく食べるなあとか呆れられたかも。そんな心配を感じながら「何?」って聞き返した。
匠くんはにこにこしながら「いや、美味しそうに食べるなあと思って」って答えた。
「だって本当に美味しいんだもん」
あたしは言い返した。
「匠くんも笑ってないでちゃんと食べてる?」
小皿に料理を取り分け匠くんの前に並べていった。
食後のデザートに二人で狭山ほうじ茶のシフォンケーキと黒蜜ときなこのとろけるチーズプリンを食べた。どちらも美味しくて、とっても幸せだった。
 
お腹いっぱいになって匠くんの部屋に戻って、並んでソファに沈み込んだ。
「はあ、お腹いっぱい」
幸せな気分で呟いた。
「って言うか、むしろ苦しいんだけど」
匠くんが言い直す。う・・・匠くんの意地悪。正直、お腹が苦しくて動きたくなかった。
「でも・・・」
匠くんが改まった口調で呟いた。
「ほんとに帰らなくて大丈夫?」
「まだ言ってる。ママがいいって言ってたでしょ」
あたしはママの了解を取り付けてすっかり気楽になっていた。でも匠くんはそうではないらしい。
「でも、許可貰えたからって、じゃあ泊まってきましたっていうのもどうなんだろう」
大人の立場としては一抹の懸念があるようだった。
もう、とあたしは思った。
身体を起こして両腕を匠くんの首に回して力を込めて引っ張る。二人してソファに倒れ込んだ。あたしの上に覆いかぶさる格好になりながら、突然のあたしの行動に目を丸くして身体を支えている匠くんを、上目遣いに見つめた。
「匠くんはあたしと一緒にいたくないの?」
切なそうな眼差しで匠くんを一途に見つめながら、甘えるように問いかけた。
匠くんは焦ったように視線を泳がせながら「いや、それは・・・一緒にいたいけど」ってもごもごとした声で答えた。
「じゃ、一緒にいようよ」
匠くんの頭を引き寄せ、唇を尖らせてちゅっとキスをした。
匠くんは観念したようにあたしのキスに応じた。

あたしも匠くんもそのまま再びエッチな気持ちが昂ぶりそうになるのを我慢して、TVを観たりしながら夜を過ごした。
ケーブルTVのAXNで丁度『CSI:NY』がやっていて、二人でソファで寄り添って観た。
エッチもすごく気持ちいいし、匠くんと肌を触れ合わせているとすごく満たされて幸せな気持ちになれるけど、こうやって寄り添って静かに時間を過ごしているのも、じんわりと心が温まるような幸せを感じられて好きだった。
「マック・テイラー、カッコいいよね」
「うん。クールな中に熱い想いを秘めてるって感じがしびれるよな」
「あと、あたしダニー・メッサーも好き」
「そう?」
「うん。何かちょっとナイーブな感じがして、ほんとはすごく優しい人って感じで」
「ふーん」
匠くんは素っ気無い返事をした。あれ?横顔を見たらなんか憮然としているみたいだった。
「匠くん、ひょっとして機嫌悪い?」
「何で?」
そう言う声はどうみても不機嫌そうだし。
「もしかしてヤキモチ?」
ちょっとからかうように聞いてみた。
「何でさ?」
「えー?あたしが他の男の人のこと好きって言ったから?」
「ドラマの話じゃん。そんなのでヤキモチ焼く訳ないだろ」
そう言いつつ、視線合わせようとしないし。匠くんは頬杖をついてぷいと顔を背けてしまった。
急に匠くんが可愛く思えた。そんなこと言ったらまた機嫌悪くしちゃうかな。
「匠くん、ごめんね。機嫌直して」
そう言って両方の頬に手を当て、あたしは匠くんの顔をこちらに向けさせた。
顔はこっちを向いたけど、視線は思いっきり反らしたままだった。
「だから、別に怒ってないし」
嘘。しっかり怒ってる声だよ。
以前だったら多分匠くんの怒ってる様子にあたしはオロオロしてしまってたと思う。でも今は匠くんが機嫌悪いのがヤキモチのせいだって分かるから、むしろ愛しささえ感じられた。
「ただのドラマの話だよ。あたしが恋してて、愛してるのは匠くんだけだよ」
匠くんの瞳を真っ直ぐ覗き込んで、心からの気持ちを込めて伝えた。
匠くんはあたしの直球ど真ん中の告白に照れてどぎまぎしていた。顔が赤かった。思わず笑みが零れてしまう。そういうところ、全然慣れないんだね。そういう変わらないところ、大好きだよ。
あたしが微笑んだのに釣られて匠くんも笑顔になった。ちょっと苦笑してるみたい。敵わないなって感じ?
大好きっていう気持ちが伝わるように、匠くんを抱き締め、熱いキスをした。匠くんもあたしの背中に手を回し抱き締めてくれた。
TVの中ではダニーとリンジーが結ばれていた。

「お風呂一緒に入ろうよ」
午後11時を過ぎて、そろそろお風呂に入って寝ようかっていう話になって、あたしはそう提案した。
「はあ?」
匠くんは鳩が豆鉄砲食ったような顔をした。
普通恋人同士なら当たり前にするようなことだと思うんだけど。ねえ。お風呂くらい一緒に入るよねえ。誰かに同意を求めたかった。残念ながら部屋にはあたしと匠くんしかいないので誰も同意してくれなかったけど。
「駄目?」
すっかり得意技になったお願いビームを目から発して、これも必殺技の上目遣いで匠くんを見た。
思ったとおり、匠くんは「別に駄目じゃないけど・・・」って口ごもりながら、結局はあたしの提案を聞き入れてくれた。あたしの連戦連勝だった。
もう身体の隅々まで、一番恥ずかしいところまではっきりくっきり見られてしまっていたけど、改めて裸を見せるのはちょっと恥ずかしかった。
恥ずかしさを堪(こら)えて先に服を脱ぎ、バスルームへ入った。
バスルームの鏡に自分を映しながら、改めて自分の身体を確認した。まあ胸とかボリューム足りてないけど、でも一応出るとこ出てるしそれなりに魅力的ではあるよね、きっと。
そう信じることにした。
シャワーで身体を温めていると、「入るよ」って声がしてバスルームのドアが開き、匠くんが入ってきた。もちろん服は脱いでいた。
「どうぞ」って答えながら、まだ匠くんの裸をまじまじと見られるほど見慣れてもいないので、何となく視線をはずしてしまった。
「シャワー使う?」
あたしが聞くと「先に使っていいよ」って返事がした。
二人でいると狭く感じるバスルームに何となく照れくさいような気まずいような雰囲気が漂っている。
あたしは髪を濡らしてシャンプーで髪を洗い始めて、匠くんにシャワーを譲った。
目を瞑(つぶ)って髪を洗いながらなんだかすごくどきどきしていた。やっぱりエッチは済ませていても、一緒にお風呂入ったりするのって全然違う気分になるものなんだなあって思っていた。実は結構興奮していた。匠くんはどうなんだろう?
匠くんもシャンプーで髪を洗い始めていたので、あたしはシャワーを借りてシャンプーの泡を流した。流し終えて髪を拭きながらちらりと盗み見たら匠くんの股間のものはしっかり大きくなっていた。それを知ってほっとしたっていうか嬉しかった。匠くんも興奮してるのが分かって。
匠くんも同じように興奮していることが分かって、気持ちが楽になった。そして思ってたことを実行することにした。
先に髪を洗い終えたあたしは匠くんが髪を洗い終えるのを待って、明るい声で「洗ってあげるね」って申し出た。これも恋人同士がお風呂に一緒に入ったら定番だよね。
それなのに匠くんは激しくうろたえていた。
「え、いいよ」
後じさりしそうな気配だった。
「そんなこと言わないで。はい背中洗ってあげる」
タオルにボディソープを付けて泡立て、てきぱきと(半ば強引に)匠くんに背中を向けさせ、ごしごし擦り始めた。背中を洗うぐらいならって思ったのか、匠くんは大人しく従ってあたしが背中を洗うのに任せていた。
そのままの流れであたしは匠くんの首の後ろを洗い、右手を洗い、左手を洗った。そして「はい、前向いて」って宣言した。
漫画だったら「ぎくり」っていう擬音が聞こえそうな感じで、向けられていた匠くんの背中が跳ね上がった。
「いや、自分で洗うから、いいから」
背中越しに匠くんの焦ったような声が届いたけど、あたしは気にしなかった。
「いいから、いいから。遠慮しないで。はい、こっち向いて」
そう言って匠くんを強引に向き直らせた。
「萌奈美・・・」
匠くんは困り果てたような顔をしてあたしの名前を呟いた。
匠くんの視線はあたしの胸や下腹部の辺りを掠めながら慌ててあらぬ方向に移動していった。目のやり場に困るっていう感じだった。今更、何を遠慮してるんだ ろう。もうさんざん見て触りまくったのに。こういう時って男の人は照れてしまうものなのかな。女の子の方がよっぽど度胸が据わってるのかな。よく分からな かった。
「何、今更恥ずかしがってるの?」
不思議に思って聞いてみた。
「いや・・・」
匠くんは要領を得ない。
ふと股間を見ると幾重にも畳んだタオルがかけられていた。ひょっとして大きくなってるのを知られるのが恥ずかしいのかな?ますます不思議だった。好きな女 の子の裸見れば興奮だってするし、そうすれば勃起しちゃうのは健康な男性なら当たり前の生理現象だと思うけど。(中には男なんて女の子の裸見れば好きとか 関係なしに立っちゃうものだっていう意見もあるけど。むしろそういう男の人の方が多いって?)
そんなことで恥ずかしがってる匠くんが可愛くて、ますます困らせたくなってしまった。
「はい、じゃあ洗うね」って断ると、匠くんの首から洗い始め、胸、お腹、腰、右足の太もも、膝、脛、足首、足の指、右足を洗い終えると今度は左足と洗って いった。お腹や太ももに触れると、勃起しているペニスがびくんと震えていたし、向き合った匠くんの視線が時々、匠くんの身体を洗っていて揺れるあたしの胸 や下腹部を見てしまい慌ててそっぽを向いたものの、少し経つと吸い寄せられるようにまた視線が戻っている様子をしっかり目の隅に捉えていた。
タオルを置いて、ボディソープを直接手に取りよく泡立てた。これから洗おうとしている場所のことを思うと、流石に激しく心臓が高鳴り、顔が赤くなるのが分かった。
それでも興奮気味なのを気付かれないように、何でもない風に振舞った。
「はい、じゃ足開いて」
にっこりと笑顔を作った。
「いや、ほんと、もう後は自分で洗うから」
匠くんは今にも逃げ出そうとするかのように腰を浮かせた。
「だーめ!あたしが全部洗うの!」
あたしは意地になって、匠くんをきっと見据えながら股間を隠していたタオルを奪い取った。
「萌奈美っ」
匠くんの懇願するような声が聞こえた。
匠くんの意志とは裏腹にタオルの下に隠れていた匠くんのものは、ぶるんと一度大きく震え、その存在を主張した。
「一番大事なトコなんだから、一番優しく、一番丁寧に洗ってあげなきゃ」
躊躇うことなく、ぴんと直立しているものに手を伸ばし泡に塗れた手で握った。
そそり立つ太い幹を掌に包むように握ると、びくんと激しくひくつき、匠くんの口からは「あうっ」っていう喘ぎが漏れた。
もう一方の手で先端の張り出した部分を包んでゆるゆると泡で摩擦するように優しく擦った。先端の割れた鈴口からえらの張った敏感な裏側までを指先で撫でるようにしながら往復した。その度に匠くんのペニスはあたしの手の中でびくんびくんって跳ねた。
「くうっ、萌奈美っ」
匠くんはたまらずに鋭い苦鳴のような喘ぎを発した。
無言で先端へのマッサージを続けながら、太い幹の部分を握った手にやや強めの力を加えて上下に動かし、次第にその上下運動の速度を速めていった。先端への刺激も激しいものになっていった。それはもう明らかに洗うのが目的ではなく、愛撫をしているのに他ならなかった。
先端をくりくりとこねるように揉み、人差し指の腹で張り出した裏側の敏感を引っ掛けるように擦り立てた。幹を激しく上下に擦りたて、その手をたまに二つの陰嚢に移しやわやわと揉み擦った。
匠くんの喘ぎは次第に切羽詰ったものになり、ペニスは間断なくびくびく脈打ち始めた。もうすぐ限界が迫っていることを示していた。
幹を擦り立てている手のスピードを最大限に速め、敏感な裏筋を指の腹を使って集中的に刺激し、或いは張り出した部分を泡に塗れた指で輪を作るようにして包み上下に擦り摩擦を加えた。
がくがくと匠くんの身体が激しく仰け反り、切なげに喘いでいた匠くんが不意に鋭く「あっ、ああっ、イクっ」って叫んだ。
心の中で「匠くん、思いっきり出してっ」って願いながら激しい愛撫を続けた。
「く、うっ、出るッ!」
匠くんが苦しげに告げるのと同時に、大きく跳ねたペニスの先端が爆ぜ、びゅるびゅると精液が激しい勢いで噴出した。その噴出はすさまじく、向き合っていた あたしの頬や胸に飛び散った。射精の瞬間を初めて見たあたしは、そのすさまじい勢いを目の当たりにして、びっくりして呆然となった。それでも半ば無意識の まま手の刺激は続けていた。ペニスはゆるゆると続けられる愛撫で、びくびくと反り返った幹を震わせ、最初の射出の勢いこそ失ったものの、どくっどくっと大 量の精液をまだ放出し続けていた。
やっと我に帰って、再びペニスを擦り立てるように掌を上下に動かした。射精した直後のペニスはとても敏感なようで、その愛撫では刺激が強すぎるみたいだっ た。くうっ、と低く呻いて匠くんは苦しげに歯を食いしばった。最後の一滴まで搾り出すようにペニスを擦った。殆ど射精し終えたペニスはひくひくと震えてい る。
シャワーで泡塗れのペニスを流した。シャワーの水流に刺激されてペニスは何度もひくついた。
もう一度ボディソープを手につけ泡立てて匠くんの股間を洗った。今度は手早く擦り洗いして、こびりついた精液を洗い落としさっとシャワーで流した。
その間、匠くんは魂が抜けたようにただ横たわり全身を投げ出していた。大きく胸を上下させ荒い呼吸を繰り返している。
匠くんを激しい射精に導くことができて満足だった。

ふと頬や胸に飛び散った精液がそのままなのを思い出した。触るとぬるぬると粘っこくて濁った液がこびりついていた。
精液に濡れた指を鼻先に持っていくと、あの青臭いような生々しい独特の匂いが鼻腔に広がった。思わずごくりと唾を飲み込んでいた。
匠くんのペニスを愛撫し射精に導きながら、あたしは激しく欲情していた。身体の奥が疼いてとろりとしたぬめりが奥からこぼれ出てくるのを感じた。
横たわったままの匠くんに縋(すが)り付く様に寄り添って身を横たえ、まだぼんやりした感じの残る匠くんの瞳を覗き込み囁いた。
「今度は、匠くんが洗って」
声が情欲に震えているのが自分でもわかった。
そのまま覆い被さり舌を絡ませた。

匠くんは同じように背中から洗い始めた。あたしがしたのと全く同じ手順でボディタオルにボディソープを付けよく泡立てて、背中から首の後ろ、左右の腕、腰と洗いお尻の上辺りまでを洗い終えると「こっち向いて」って耳元で囁いた。
性感の高まっていたあたしはそれだけでびくっと身体を震わせてしまった。
あたしが向かい合うように向き直ると、匠くんはあたしのお腹、太もも、左右の足のつけ根の方から爪先へと下って洗っていった。胸を意識的に避けていた。
それがすごくもどかしかった。本音を言えばもう身体を洗うのなんかどうでもいいから、一番感じるところを早く直に愛撫して欲しかった。
もうあたしの股間からはすごい量の愛液が溢れ出て、足の付け根をぬるぬると濡らしていた。足を摺り合わせるように身悶えた。
あたしがものすごくじれったく感じていることを匠くんはちゃんと分かっていて、あたしがどうでもいいって思っている部位をわざとゆっくりと丁寧に洗っていった。まだ敏感な部分は触れられてもいないのに、あたしの口からは切なげな吐息が漏れた。
足の先まで洗い終え、匠くんはボディタオルを置いた。その動きにどきりとなった。あたしがしたのと同じように手にボディシャンプーを付け泡立て始める。たちまち泡塗れになる匠くんの両手を見つめながら、あたしの中でいよいよだっていう思いが高まった。
匠くんがあたしの背後に回った。えっ、と声を上げそうになった。あたしの中ではもう我慢しきれないくらい快楽に身を委ねたいっていう欲望が膨れ上がってい て、これから感じる部分に触れてもらえるって思っていたのに、期待を削がれた感じがした。もう我慢できないのにどうして?頭の中で悲鳴のような声を上げて いた。
その時、後ろからあたしを羽交い絞めにするように両手が回され、乳房を掴んだ。
ひあっ!すっかり硬く尖っている乳首も一緒くたに不意打ちのように乳房を鷲掴みにされ、揉み擦られてあたしは抑えきれずよがり声を上げた。きめ細かい泡のふわふわしてみっしりとした感触が乳房を包み、やわやわと揉みしだかれた。
はあんっ。とても自分のとは思えないような甘ったるい喘ぎ声が狭い浴室内に異様に大きく響き、その声の反響に驚いて急いで口を噤(つぐ)んだ。
匠くんは尖った乳首を人差し指と親指で摘(つま)み、二つの指で優しく捻(ひね)るように揉んだ。
んくう!声を上げないように必死で口を真一文字に結びながら、その強い快感に身悶え、眉間に皺を寄せて目を瞑(つぶ)って耐えた。匠くんの指はリズミカル に両方の乳首を転がすように揉み続けた。時々捻ったり、引っ張るように乳首への愛撫に変化を付けながら。びんびんとした快感が乳首から脳天へと貫いてい く。
んんっ、んあっ、ひあっ。堪(こら)えようと思いながら、抑え切れない喘ぎを漏らし続けた。
後ろから伸ばされている匠くんの右手がすっと離れ、下の方に下がった。快感に溺れながらあたしはその動きを感じて、期待に胸を熱くした。
下腹部へと伸びてきた匠くんの手が、手の平全体で覆うように股間全体を包みぐりぐりと擦った。陰唇も包皮に覆われた陰核もいっしょくたにこねられ、揉みしだかれた。その乱暴にも感じられる愛撫は、石鹸の泡が摩擦を減らし、敏感な秘所には強い快感だけが与えられた。
やあっ。耐え切れず大きな声を漏らした。
匠くんの右手の中指があたしの膣口を捉えた。
ひっ。あたしは短く喘いだ。
匠くんはあたしが息を整える間を与えず一息に中指を付け根まで膣内に差し入れた。石鹸の泡と愛液とで中指はまったく抵抗感なくつるりと没した。
ペニスよりは遥かに細く短かったけれど、男性特有の太くて骨ばった(それでも匠くんの指は他の男性のより余程すらりとして綺麗だとあたしは感じているのだ けれど。いつも手を繋ぎながら、匠くんの指って長くてすらりとしていて綺麗だなあって思っていた。)中指はあたしの膣壁を擦り、膣奥を突いた。
あひいっ!
あたしは身体を仰け反らせた。
匠くんは突き入れた中指を今度は一気に第一間接辺りまで引き抜いた。そうしたかと思うと、再び一息にずぶりと膣奥深くに沈めた。引き抜く時には指を曲げ気 味にして指の節と腹で膣襞を擦り上げるようにし、突き入れる時は指をぴんと真っ直ぐに伸ばし膣の奥を抉(えぐ)るように深くまで届かせた。
その素早い抜き差しを匠くんは繰り返した。息を整えることもできず、膣を擦り立てられる快感に翻弄されてしまっていた。
ああっ!あはあ!やあ!ひっ!くうっ!はあっ!ひいっ!
膣襞を擦られ、膣奥を突かれる度にあたしの口は快楽に染まったよがり声を放ち、浴室の壁に反ね返って自分の鼓膜を打った。その声の淫らさに口を塞ぎたかったけれど、あたしの意識は快楽に痺(しび)れ、まるで言うことを聞かなかった。
匠くんの顔が見えないことがあたしの中に微かな不安を抱かせた。背後から伸びた手があたしを蹂躙した。まるでただ快楽の虜にしようとするかのような、機械 のように精緻で的確な反復動作を繰り返す指が匠くんのものだって分かっていても、その顔が確認できずその声が聞こえないことであたしを僅かに怯えさせた。
不思議なことに、不安はまるで火に油を注ぐようにあたしの情欲を煽り立てた。何故そんなことになるのか自分でも不思議だった。でも何故かは分からないけれ ど、あたしは微かな不安の種火が激しい情欲へと燃え盛っていくのを感じていた。激しく昂ぶり、どろどろとした悦楽の塊が身体の奥から膨れ上がっていた。
あっ!ひあっ!くふっ!あっ、くう!くひいっ!ひっ!あっ!あひっ!
あたしの声が切迫したものに変わりつつあるのを匠くんは知って、乳首を摘むようにこねる指の動きを強め、膣に出し入れしていた指を膣の奥に埋めたまま、膣 の奥深くをずんずんと突くようにした。そして膣の奥を強く突かれながら、手の平でもってクリトリスを包皮の上からぐりぐりとこねくり回された。
快感の波に呑まれ、みる間に激しい快楽の頂へと引き上げられていった。
あッ!あッ!駄目ッ!匠くんッ!あひッ!イくッ!ああッ!ひあッ!もうッ!イクッ!イっちゃうッ!あッ!あッ!ああああああーッ!
あたしの声に応えるように匠くんは一層激しく指を動かし、あたしはがくがくと身体を大きく震わせながら激しい絶頂に達した。
やがて、絶頂を終えてあたしは糸が切れた人形のようにがくりと全身の力が抜けてしまった。後ろに倒れ込みそうになるのを背後で匠くんが抱き止めてくれた。手足は弛緩しきってだらりと投げ出していた。時々ぴくぴくと太ももの辺りが痙攣を繰り返した。
胸を大きく上下させ乱れた呼吸を整えるのに努めた。意識が何処か遠くに飛んでいって、まだ自分の中にしっかりと戻ってきていないような感覚があった。
匠くんがそっと耳元で囁いた。
「気持ち良かった?」
聞き慣れた穏やかな匠くんの声が耳に響いてほっと安心しながら、激しく乱れていたのが急に恥ずかしくなって、声は出さずにこっくりと頷いた。

匠くんがあたしの身体をシャワーで流してくれてから、二人で浴槽に入り温まった。二人とも激しくイった直後なのに一向に身体の疼きは治まらず、その間も激しいキスを繰り返し、お互いの身体を触って刺激し合っていた。
お風呂を出て、濡れた身体を拭くのももどかしく、あたし達は全裸のままベッドに倒れ込んだ。唇を貪り合い、舌を絡めながら、それぞれの手は相手の性器へと伸び、淫猥に蠢き快感を与え合った。
匠くんがあたしの瞳を覗き込んだ。匠くんの瞳は欲情に染まっていた。匠くんが見ているあたしの瞳も同じように欲情に濡れているはずだった。
お互いの昂ぶりを確認した匠くんは、荒々しく唇を重ねて来てあたしの口腔を侵した。二人の情欲が絡み合い、より大きな情欲へと燃え立つかのように、あたし達は何度でも激しく求め合い、その欲望は尽きることがなかった。
匠くんの指と口で刺激され昂ぶりきったあたしは、匠くんにお願いした。
ねえ、匠くんの、入れて。
まだ二度目の挿入では痛みしか感じられないかも知れなかったけど、でも匠くんにペニスを入れて欲しかった。
あの硬く屹立したものに膣を押し広げられ貫かれると、あたしの中に匠くんがいるっていう感じがして心が満たされた。本当に「ひとつに繋がっている」って実感できた。
匠くんはちょっと心配そうな顔をした。
大丈夫かな?
うん、大丈夫だから。あのね。
あたしはあたしが感じていることを教えたあげた。
匠くんのが入ってると、あたしの奥深くで匠くんと結ばれているって感じがすごくして、とても満たされた気持ちになるの。だから、匠くんに入れて欲しいの。
そっか。匠くんは嬉しそうな笑顔を見せてくれた。わかった。そう頷いた。
コンドームを付けるとゆっくりと匠くんはあたしに覆い被さって来た。腰をにじり寄せて下腹部に視線を落とし、自分の勃起したものを握ってあたしの入り口に位置を合わせる。
あたしは膣口に弾力がある大きなものがぐっと押し当てられるのを感じた。
匠くんは顔を上げあたしを見る。
「入れるよ」
匠くんを見つめたまま頷く。
匠くんが腰をぐいっと進め、あたしは押し付けられていた太いものに膣口を押し広げられ、膣の中へとずずっと入り込んで来る感触を確認していた。
「ん、くっ」
膣を目いっぱい押し広げられる違和感に慣れず、呻き声を漏らした。
匠くんがあたしの眉間に寄った皺を見て、動きを止めた。
だいじょぶ、だよ。口元だけ笑いながら伝えた。
匠くんは頷き、また腰を進め始めた。ズズッ、という感じで匠くんのペニスはあたしの膣に着実に没して行く。
溢れるように分泌されている愛液でぬめりは十分なはずだけれど、膣をいっぱいに押し広げる程の大きさのペニスが膣内を進む時、膣襞がずるずると擦られ引き攣れるような痛みが襲った。我慢しようとしても苦痛で顔が歪み、声にならない悲鳴が漏れる。
いっ、ひいっ、
あたしが身体を強張らせるのを、匠くんは優しく抱き締めてくれながら、悲痛な面持ちであたしの膣の奥へと自らの屹立を押し込んで行く。
身体が竦(すく)んでしまうのを抑えられないまま、それでも匠くんの背中に手を回し力を込めて匠くんの身体を抱き締めた。大丈夫だから、そのままして、っていう意志を伝えるように、自分から匠くんへと身体を押し付けた。
匠くんがぐんっと一層力を込めて腰を進めて動いた。あたしの膣の一番奥に匠くんのものが届いた感じがあった。何か窮屈な苦しい感じが膣の奥に残った。
「全部、入ったよ」
匠くんが、はああ、って大きく息を吐きながらあたしに伝えた。
あたしもほっとして強張らせていた身体の力を抜いた。
下腹部には目一杯押し広げられて埋め尽くされた違和感が広がり、体内に没した密度の重い異物感があった。
そっとあたしと匠くんを繋いでいる部分に触れた。匠くんの強張りはその根元しか触(さわ)れずに、あとはあたしの中に没している様子がその手触りからはっきりと確認することができた。
しがみ付くかのように背中に回していた手の力を緩め、あたしは匠くんを愛おしく抱き止めた。

あたしの中をいっぱいに押し広げて貫き、あたしの奥深くで匠くんのものは、とくん、とくん、って息づいている。その度にモールス信号のようにあたしの奥深くがノックされる。
あたしはうっとりと目を閉じて、匠くんのものを包み込んでいる部分に意識を集中して匠くんのものを感じ取っていた。
あたしと匠くんは身体の奥深くで繋がったまま、しばらく抱き合ってじっとしていた。二人とも動かずにいる中、あたしの身体の奥では匠くんのものが蠢き続けている。
その感覚があたしの身体の奥をきゅんっとさせた。身体が火照る。身体の奥が熱く疼き、あたしは自分から少し動いてみた。浅く、小さく。
萌奈美?あたしが身動きするのを感じて、匠くんは両腕で支えるようにして身体を起こした。
あのね、少し動いても大丈夫そう。自分から腰を動かしたのが少しはしたない気がして顔を赤らめた。
ほんとに?無理しなくていいからね?
うん。匠くんの気遣う言葉に頷いてから、匠くんの背中に回した手で匠くんの身体を引き寄せて囁く。ねえ、ちょっとずつ動いてみて。
匠くんは、うん、って言って、様子を見ながら慎重に腰を動かし始める。殆ど抜き差ししない前後運動のない動きだった。
身体の奥の方で匠くんの張り詰めたペニスが小刻みに動いている。ぶるぶると揺れるバイブレーションのような感覚を膣内に感じていた。
ペニスがぎっちりと挟まった膣全体にぶるぶると震えるような振動が加わる。
ずるずると擦り立てる動きがない分膣内の苦痛は感じられず、小刻みな振動が物足りないような疼きを感じさせた。違和感だけではない疼きを感じた。
あたしは声を漏らした。それは苦痛からのものではなくて、何かじんじんとした痺れるような感覚によるものだった。
「匠くん、何か、違う」
自分が感じているものの正体を確かめるように膣内に意識を集中しながら訴えた。
匠くんはあたしの言葉の意味が分からないようだった。
「違うって?」
小刻みな動きを止めずに匠くんは聞き返した。
「なんか、変なの、痛いんじゃなくて、何か変な感じ、なんだか疼く感じ、じんじん、熱く痺れるような、そんな感じ」
膣内の感覚を確かめながら答えた。
「気持ち、いいの?」
匠くんが聞いたけど、よく分からなかった。
「分かんない、でも、もっと続けてみて、」
匠くんはあたしの言葉が励みになったのか、小刻みな動きを速めた。膣襞を震わせる振動が増し、びりびりした感じが強まった。
あたしの身体の奥深くにもびりびりとした刺激が伝わり、痺れるような感覚は次第に膨らみ、ずきずきとした疼きになっていった。
身体の奥にずきずきとした疼きが広がっていく。
あ、何これ?痺れる、ずきずきって、疼く感じ、あっ、もっと、強く、やっ、全然、駄目っ、疼いてたまらない、もっと、もっと強くして、強く突いて!
「あっ、匠、くんっ、やっ、もっと、駄目ッ、おくっ、奥が疼くのっ、もっと、もっとして、もっと奥を強くっ、突いてっ!」
自分の中に生まれた欲望を激しく伝えた。
匠くんは腰の抜き差しは殆ど加えずに、腰をぐっぐっと奥へ打ち付ける動きを強めた。
ずん、ずん、と膣の奥をペニスが突き上げる。膣襞はほとんど擦り立てず、膣の奥だけを突き上げるような動きだった。
あんっ、それっ、やっ、すごいっ、奥に、ずんって来るっ、奥、当たってるっ、すごいのっ、やあ、何で、こんなの、すごいっ、やあっ、いいっ、いいのっ、すごいっ、いいっ
身体の奥を激しく突き上げられ惑乱した。激しく頭を振り立てて、よがり狂った。それ程に奥を突きたてられるのは気持ちよかった。
心の中で快楽の声を放ち続けた。
あっ、もっとっ、もっとっ、奥っ、突いてっ、奥、激しくっ、突いてっ、いいっ、匠くんっ、いいのお、やあっ、いいっ、すごい、いいっ
匠くんに激しく身体の奥深くを打ち付けられる度に、全身を電流が突き抜けるような激しい快感で貫かれた。
次第に匠くんの動きは激しさを増す内に、腰を前後する動きも加わり始めていて、匠くんの硬いペニスがあたしの膣をずぶずぶと出たり入ったりしながら膣襞を激しく擦り立てても、ほとんど苦痛は感じず、激しい快感に紛れてしまっていた。
匠くんは膣に挿入したペニスの先端の張り出したすぐ手前まで引き抜いては、すぐさま一気に根元まで突き入れる動きを、すさまじい速さで腰を振り立てて繰り返した。
膣襞は太いペニスの幹で擦り立てられ、張り出した先端が膣の奥深くまでを貫き激しく突き上げた。激しい情欲に塗れている今、荒々しいまでのその全ての動きはあたしには激しい快楽をもたらすものになっていた。
大きなよがり声を上げながら激しく惑乱するあたしに興奮した匠くんは、あたしの足を抱えると逆さにするようにあたしの下半身を持ち上げた。
足を大きく広げられて腰を持ち上げられ、股間が匠くんの顔のすぐ近くに晒され、丸見えになってしまっているその恥ずかしい格好に、激しく羞恥を覚え、快楽に染まりながらも懇願した。
「だめえっ、そんなの、匠くん、いやっ、こんな格好、やだっ、やめてっ」
自分の持ち上げられた股間の向こうに匠くんの顔があった。ぐちゃぐちゃに濡れている陰部も、太いペニスが激しく出入りしている膣口も全部匠くんに見られてしまっているに違いなかった。
匠くんは泣き出しそうになっているあたしを見てもその行為をやめず、持ち上げた腰をしっかりと抱えると一息にペニスを挿入した。そしてすぐにずんずんと激しく腰を突き入れ始めた。
息苦しさを覚えながらその体制に耐えた。そして、激しく突き立てられるペニスが今迄以上にあたしの膣の奥深いところを抉っているのを知った。
一突きごとに身体の奥の深いところをペニスの先端が抉り、あたしは爆ぜるような快感を感じていた。
「いやあ、なにっ、これっ、やあっ、深いっ、すごいのっ、奥っ、奥に来るッ、やあっ、すごいっ、奥にっ、当たるッ、あうッ、いいっ、すごいっ、いいっ、やっ、いいのっ、すごい、いいのっ」
泣き叫ぶようによがり声を上げ続けた。このまま何処までも快感が高まって気が狂うんじゃないかって気がして恐くなった。突き入れられる度に快感が加速していくかのようだった。
匠くんは恐いくらいに思い詰めた顔で、憑かれた様に一心にあたしの膣にペニスを突き立てていた。
快楽に染まった頭の片隅で匠くんももう限界が近いことを感じていた。匠くんの口からは、荒い息遣いに紛れて切ない喘ぎ声が漏れていた。
あっ!あっ!やあッ!だめえ!すごいのッ!すごいッ!だめえ!変になっちゃうッ!だめッだめッ!やあッ!あひッ!いいッ!すごいッ!あッ!あひッ!いいッ!いいのッ!イクッ、イクッ、あひッ、イクッ、やッ!イクッ!いっちゃうのッ!あッああああああああ!
膣襞の奥深くまで大きく反り返ったペニスで擦り立てられ、身体の一番奥をずんずんと突き立てられながらあたしは絶叫と共に絶頂に達した。
魂まで吹き飛んでしまいそうな恐ろしいくらいの快感だった。
あたしが絶頂を迎えたその直後だった。
うあっ、イクッ!
匠くんが鋭く呻いた。あたしの膣の奥を突きあげたままのペニスがびくびくとのたうち、先端部がぐぐっと膨らんだかのような感じがした次の瞬間、びくんびくんと滅茶苦茶にのたうちながら激しい射精を迎えていた。
膣の奥でびゅくびゅくと暴れまわるペニスを感じていた。
匠くんの硬直が解け、抱え込んでいたあたしの腰を離した。宙に浮いていたあたしの下腹部はどさりとベッドに沈んだ。あたしは解放されて弛緩した四肢を投げ出した。
匠くんも全身の力を抜いてあたしの上に倒れ込むように横たわって来た。肘と膝を突いて全体重があたしにかからないように覆い被さっている匠くんの身体を、下から抱き締めながらその重みを心地よく感じてうっとりと目を閉じた。
目を瞑(つむ)っていると、膣の奥に埋まったままのペニスが、時たまびくんって脈打つのを克明に感じることができた。
激しく快楽を貪り一緒に絶頂を迎えることができて、その後の余韻をこうして匠くんに寄り添いながら浸っている今、あたしの心は安らかで満ち足りていた。
この上ない幸せを感じながら匠くんの身体を抱き締めていた。

その後もお互いの身体を求める欲望は治まることを知らず、寝ることも忘れたようにあたし達は互いの身体に触れ合い、昂ぶりが我慢できなくなると一つに繋がった。激しく腰を蠢かし激しい快感の果てに絶頂に達した。
あたしも匠くんもお互いの感じるところを知り尽くそうとするように相手の身体の隅々に指を這わせ、撫で擦り、揉みしだき、啄(つい)ばみ、舌で舐め上げた。様々な体位で繋がり悦楽を貪った。
あたしも匠くんも何回絶頂に達したのかいつしか分からなくなり、そうして空が白みはじめた頃、どちらともなく激しい疲労の裡に眠りに落ちていた。
 


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